第5話

泉ちゃん可愛いね?!
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2020/06/08 23:52
『おはよう~!』
山桜「あっ、あなたさん!おはようございます!」
植木「おはようあなたちゃん!」
水沢「何か遅かったね?」
和香「…目の周り赤いけど…何かあったの、あなたちゃん…?」
優ちゃんの言葉に、女子が「えっ?!」と声を上げる。男子も注目しているのが分かった。
恋天「あなたちゃん、私達、話を聞くことは出来るから…」
みんなが心配してくれる。
怒られて泣いただけなのに…
心配させちゃって悪い…
『あっ、えっと…そんなたいしたことじゃないの!今日、電車乗ったら…カクカクシカジカ』
和香「なぁんだ、そうだったんだぁ」
山桜「災難でしたね…、でも、大事にならなくて良かったです!」
水沢「ほんと…あんた可愛いんだから心配させないでよ」
『…………泉ちゃん』
水沢「ん?」
女子全員「かわいいぃ~っ!!」
水沢「えっ?ちょ、えっ?!わ」
福田「俺達も混ざりたいね!」
綿ヶ子「うん、僕混ざってこようかな♪」
町田「えっ?!ええええっ、いやそれはっ…」
綿ヶ子「ねぇ僕も混ぜてぇ───っ!」
『わあぁっ、綿ヶ子くん!いいよおいでよー!』
綿ヶ子「わーい♡」
恋天「綿ヶ子くん、髪の毛ふわふわだねぇ」
綿ヶ子「えへへそうかな~」
水沢「ねぇそれよりも離して、重いよっ!」
植木「泉ちゃん顔真っ赤で可愛いよぉ~」
「おいお前ら」
急に聞こえた冷たい声に、私達はピタリと固まった。
蘭竜「朝からうるせぇ、少し静かにしろ」
『あ…ごめん蘭竜くん…』
小林「ごめんね」
和香「気をつけます…」
瀬川「……もうそろそろ時間だし、席つこっか」
山桜「そ、そうですね。じゃあまた休み時間に」
水沢「うん、また」
私達はしゅんとして、それぞれ席に着いた。
瀬川くんがもうそろそろ先生くる、と言ったのは、ただ謝るしかなかった私達を気遣ってくれたからなのだ。本当はまだあと5分ほど時間が残っている。
『(どうしよう…このまま黙って5分って凄くきついよね…うるさくない程度に誰かと話したいけど、また女子と話したら蘭竜くんに怒られちゃいそうだし…)』
『(よしっ!)』
『心操くん、あの…心操くんってどこの駅から通ってる?』
私は意を決して隣の心操くんに話しかけた。
心操「△△」
『あっ、おなじ電車だ』
心操「あっそ」
『同じ駅の人居る?』
心操「いない、ていうか知らない」
『じゃあ一緒に帰らない?』
心操「洗脳されてもいいのか?」
『心操くんそんな危ない使い方しないでしょ?』
心操「質問に質問で返すなよ、別にしないけど」
『やっぱり』
心操「でも俺は上に上がるためなら何でもする」
『皆そんなもんだよ、きっと!だから一緒に帰ろ、広人も一緒に』
間「うん、俺あなたと同じ駅だから」
心操「人数多いのは嫌だ」
『じゃあ二人で帰ろ!』
間「えっ、俺は?」
『ごめん広人、明日ね』
間「わかった、爆豪くんとでも帰るよ」
『えっ』
心操「……爆豪」
『あっ、ヒーロー科の人だよ!』
間「ちなみに首席」
『初日にたまたま会って仲良くなったんだ、ちょっと怖いけどいい人だよ』
心操「ふーん、そのブレザーの持ち主?」
『うん…ってえ?どうして私のじゃないってわかったの?!』
心操「だってちょっとダボッとしてるし。お前身長何センチ?」
『155センチ…あるかないか、かな…』
心操「ちっさ」
『うっ…』
心操「だから大体の男子はお前より身長高いから、男子に借りたのかと思った」
『なるほど…』
間「心操って頭いいんだね」
心操「そうでもない」
『頭いい人は身長高くなるのかなぁ…』
間「俺あなたより身長高いけど」
『あっ、広人は別!』
間「え」  
先生「おはよう、HR始めるよ~」
教室のドアが開いて、先生が入ってきた。
『あっ、じゃあまた後で!』
間「おー」
心操「……」
『(心操くんと結構楽しくお話しできた…かな?広人もサポートしてくれて、一緒に帰る約束までできちゃった!)』
『(そうだ、このブレザー…いつどうやって返そう?今日中に返した方が良いよね…)』
~そんなこんなで昼休み~
『私、今日お弁当ないんだよな…』
角田「おっ、じゃあ食堂行こーぜ!」
植木「あっ、私も行く~」
髪野「俺も行っていいか?」
角田「あったりまえだろ~!」
初葉「食堂行くのはこれだけかな?じゃあ出発しよっか!」
『うん!』
_______
『初葉ちゃんは何食べる?』
植木「うーん、私はカレーかな!」
『そうなの?私はどうしようかなぁ…』
ランチラッシュ「はい、君達注文は?」
植木「あっ、私はカレーで!」
『う~ん…私は…温かくないお蕎麦で!』
私がそう言うと、後ろに並んでいた男の子がピクリと動いた。
??「おまえ…蕎麦すきなのか?」
目をキラキラさせながら聞いてくる。
『えっ、あっ、はい!大好きです!』
??「俺も温かくないの好きだ」
『そうなんですか?』
轟「あぁ。俺は轟焦凍。お前は?」
『私は色絵あなたです!』
轟「色絵、良かったら一緒に食べないか?」
『あっ…、同じクラスの人達と来てるんですけど…一緒でも良いですか?』
轟「そうか…邪魔したら悪いから、いい」
『すみません…、今度一緒に食べましょう!!何組ですか?』
轟「1-Aだ」
『分かりました!じゃあ、また』
轟「あぁ」
『(ヒーロー科…もしかして、爆豪くんや緑谷くん、上鳴くんと同じクラスかなぁ?)』 
角田「色絵ーっ、置いてくぞーっ!」
『あっ!ごめんごめん!』
私は思考を断ち切ると、つゆをこぼさないよう気をつけながら皆の方に歩いて行った。
______
角田「なぁ、色絵ってなんでヒーロー科に知り合い多いんだ?」
『えっ、そうかな?元はゼロだよ』
髪野「そうなんだ、雄英入って知り合ったんだな」
植木「さっき話してた人もヒーロー科みたいだったし、あなたちゃんは縁があるのかもね!」
『そうなのかな?皆はヒーロー科に知り合いいる?』
角田「俺、話したことはないけどA組の切島隣の中学にいた気がするな」
植木「私はA組の葉隠透ちゃん!小学校一緒だったんだ、雄英いてビックリしちゃった!」
髪野「んー、俺はA組の八百万かな。じいちゃんがよく八百万の父さんの会社のパーティーに呼ばれてて、俺もくっついてったことあるんだ」
『髪野くんのおじいさんも八百万さんのお父さんも凄いね?!』
角田「なるほど、この余裕はセレブな生い立ちから成り立ったってことか」
植木「今度髪野くんの家行ってみたいな、豪邸だったりして!」
『ありそう!見てみたい!』
髪野「そうか?普通だぞ?」
角田「何LDK?」
髪野「1…2…7LDKくらいか?」
植木「いやそれ全然普通じゃないから?!」
『すごい…一部屋分けて欲しいくらいだよ』
角田「色絵なら家作れるんじゃないか?」
『私の個性は、大きくして三次元にすることは出来ないから、すごく大きく描かないと…』
髪野「今度やってみるか?土地はあるしな」
髪野以外:「(発想のレベルが違う…)」
~そんなこんなで放課後~
『心操くんっ、帰ろ!』
心操「あぁ…」
『そのまえにちょっといい?』
心操「何だ」
『借りたブレザー返そうと思って、爆豪くんに』
心操「じゃあ俺は教室で待ってる」
『うん、わかった!』
_____
~1年A組の教室の前~

『(どうしよう…すっごく敷居が高いよ…)』
私はドアの前で困っていた。
『(首席の男の子にに普通科の私が話しかけたら目を付けられるかな?そうでなくても周りの人にすごい見られるよね?ていうかA組じゃなくてB組在籍だったらどうしよう?私こういうことで目立つの苦手…どうしよう誰か…)』
その瞬間、目の前のドアがガラリと開いた。
ドンッ
『ひゃっ』
身長が低い私は、その人の肩付近におでこがあたり、尻餅をついてしまった。
「ごめんなさい、大丈夫ですか…?」
『す…すみません、大丈夫です…』
「立てますか?」
美人でポニーテールの女の子が、私に手を差し出してくれる。私はその手をつかんで立ち上がった。
『あっ、はい、ありごとうございますっ』
「いえ、大丈夫ですわ!私もぶつかってしまい申し訳ありません…それより、A組の誰かに御用でしょうか?」
『あっ!あの、A組に爆豪くんいますかっ?』
「あぁ、爆豪さんならあちらに」
教室の奥の方に、爆豪くんの姿が見えた。
『あっ、ありがとうございます!』
「いいえ、では失礼しますわ」
にこりと綺麗に笑った彼女はコツコツと去って行った。
『いい人…だったな…よしっ、A組にいるって分かったことだし、行こう!』
『失礼します…えっと、爆豪くんお願いします』
上鳴「あっ、色絵!!なんだその職員室みたいな言い方笑笑」
??「えっ?何々、もしかして爆豪の彼女さんっ?!」
『えっ、いや、あの…』
??「可愛いなぁ~、爆豪くん幸せもんやぁ」
??「な、まったくリア充だぜ!」
??「ほぉ…なかなか…」
??「峰田ちゃん最低ねケロッ」
『えっ、あ、あのっあのっ』
上鳴「こいつは爆豪の彼女じゃねーよ、多分」
『たっ、多分じゃないよ上鳴くん!』
芦戸「なんだぁー、そうだったんだ。ごめんねいきなり、私は芦戸三奈!」
麗日「私もごめんね、麗日お茶子だよ、よろしくね~!」
切島「俺は切島!よろしくな」
蛙水「蛙水梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」
『えっ、と、三奈ちゃんと、お茶子ちゃんと、梅雨ちゃん、であってる、かな?』
芦戸「そうそう!」
『私は色絵あなた、1年C組です!』
麗日「えっと…、じゃあ普通科、かな?」
『あっ、はい!』
蛙水「それであなたちゃん、爆豪くんに何か用なのかしら?」
『あっ、そうだった!爆豪くん!』
爆豪「アァ?んでここにいんだ?」
切島「爆豪いきなりそれはないだろ~」
『あっ、大丈夫だよ切島くん、ありがとう!』
『爆豪くん、これ…ブレザーありがとう!温かかった!』
爆豪「ん?あぁ」
私はきちんと畳んだブレザーを爆豪くんに渡した。
『爆豪くん、身長高いんだね、ブレザーすごく大きかった!』

芦戸「え、何、爆豪あなたちゃんにブレザー貸してたのっ?(コソッ」
切島「な、なんかそうみたいだな(コソッ」
麗日「彼シャツ…青春や(コソッ」
爆豪「お前が身長小せぇんだろチビ女」
『うっ…』
爆豪「ハッ、それよりそこに何かいるぞ」
『えっ?うわぁぁあ広人ぉっ?!』
間「あなた、心操帰るって言ってるけど大丈夫?」
『へっ?!ウソ、早く行く!ごめん爆豪くん、ありがとね!また…』
爆豪「来んな」
『……広人もありがと、また明日!』
間「おー、また明日」
私は心操くんと一緒に帰るために、1-Cの教室まで本気でダッシュした。

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