第19話

蘭竜くんとランリューくん
982
2019/11/30 08:41
「お前ら付き合ってんのか?」
蘭竜くんは私の目をまっすぐ見て言った。
…また、心が真っ青だ…
『ちっ、違うよ、ただの幼馴染みだよ!』
何故だか焦って、大きな声を出していた。
不安な気持ちで、蘭竜くんを見つめる。
蘭竜「……そうか」
蘭竜くんの心が水色になる。安心の色だ。
蘭竜「急に悪かったな」
そう言って蘭竜くんは、ふっと口角を上げた___。
『!!ら、蘭竜くんが笑った…!』
私がそう言うと、蘭竜くんはハッとして手で口を隠した。
『えっ!なんで隠すの?見たい!』
蘭竜「ちょ、覗き込むな」
『うわっ…!』
こんな所でもみ合っているのが悪かった。
私はバランスを崩して、ゆっくり倒れていく______ドサッ
『ぅいっ…』
目を開けると、
蘭竜くんの顔が目の前にあって、
彼の藍色の瞳が私を捉えていた。
「大丈夫か」
『うん…、ごめん』
立ち上がろうとした瞬間くいっと引かれて、
気付いたら私は蘭竜くんの腕の中にいた。
『へ、蘭竜くん!?』
私はそんなに恋愛経験多いわけじゃないから、恥ずかしくてバタバタもがいた。
「俺は誰もいらなかった」
発された悲しい響きの声に、体がピタリと止まる。
「…俺と居ても、そいつを傷つけることしか出来ないから」
遠い目をして言う、蘭竜くん。
傷つける…?私は今蘭竜くんに傷を癒やして貰ったのに…?
俺の個性ランリューは俺が怒りを覚えると暴れ出す」
『!!』
「そしてランリューが暴走した後には、周りにはもう誰も居なくなる」
「…俺は誰も傷つけたくないし、また離れられるのも嫌だ。だから元から好かれないようにした」
『そんな…、それとこれとは別だよ!私はランリューくんに傷つけられても蘭竜くんのせいだとは思わない!だって蘭竜くんは蘭竜くんだもん』
「…わかりずら」
そう言うと蘭竜くんは、腕をといて私を解放する。意味が分からずただ呆然とするしかない私に、
「俺はお前を傷つけたくねぇ、もう近寄るなよ」
言葉とは裏腹のとても悲しげな声で、そういった。

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