私は今対峙している。
机上の大問題と…!
『分かんない分かんない、分かんない~!』
その末に敗れて、私はシャーペンを放り投げて叫んだ。
私は運動よりも勉強が得意だ。(運動も雄英受けようとする位には出来る)
でも、苦手な科目はある。
数学がとてつもなく苦手なのだ。
『(うぅ…このまま中間テストむかえたら成績が終わるよ、全然わかんない)』
『(ママとパパは勉強教えられないし広人は数学得意だけど聞くのは屈辱的だし…でも他に連絡先持ってな…ん!?)』
『私、爆豪くんの連絡先持っているではないか!』
この名案にたどり着いた私は、思わず大きな声をあげた。
『(よし、思い立ったが吉日だ、今ならご飯食べ終わってるだろうし…!)』
私は深呼吸をして、送信ボタンを押した。
『(き…、既読はやい!!何か3秒くらいでついた…)』
爆豪「てめぇがお邪魔しますとかL◯NEで送るからだろうが!!」
『ごっ、ごめんなさい、でもお母さんにお邪魔しますって言ったし乗るとは思わなかったから!!』
光己「勝己!あんた女の子相手にそんなこと言うんじゃないよ!」
爆豪「うっせぇババア!」
『ばっ、爆豪くん!』
光己「ごめんねあなたちゃん、うちの勝己が迷惑かけちゃって」
『い、いえあの、今も勉強教えてもらうし…私こそお邪魔しちゃってごめんなさい』
光己「可愛いわぁ、勝己に何かされたら言ってね」
爆豪「しねぇわクソババア!」
『爆豪くんっ』
光己「あんたねぇ……」
『(爆豪くんってお母さん似なんだな)』
______
爆豪「はぁ…はぁ…あんのクソババア」
『…い、いい人だと思ったけどな、私は…』
爆豪「アァ?」
『ごっ、ごめん何でもない』
爆豪「さっさと始めんぞ」
『よろしくお願いします!』
______
『なるほど!やっと分かった~!ありがとう爆豪くん!』
爆豪「こんくらいどうってことねぇわ」
『すごいな、ホントに何でも出来ちゃうんだね、教え方も上手いし…、尊敬する』
爆豪「ハッ」
『私は何も出来ないからな…、勉強と絵を描くことは得意だと思ってたのに、みんな同じくらい出来ちゃう』
爆豪「…」
『あっ、ごめんね!今日はありがとね!もう帰んなきゃだよね…!』
私はあわてて机の上の勉強道具を片付ける。
『ごめんね…』
でも、どうしてだろう。
爆豪「?!」
『___ッ、ごめん…!』
涙があふれ出てくるんだ。
爆豪「…お前…」
『何でもないの、大丈夫だから、帰るね、爆豪くんの、せいじゃ…ないから…!』
私は途切れ途切れになりながら声を絞り出す。
『ごめん、迷、惑だよね、ホントに、帰る…!』
鞄を持って、立ち上がる。
そのまま小走りで部屋のドアへ向かった。
爆豪「待てよ」
気付いたら私は。
肩に手を置かれて、
目を塞がれていて、
「見てねぇから…泣け」
優しい声に、
包まれていた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。