意外と強い。
私の攻撃を今のところ全て避けている。
そろそろ本気を出すか。
と思い本気を出そうとした時だ。
『待て!こいつ見たことある。』
アオが言った。
『あの行方不明だった藍ちゃんって子じゃない!?』
ミドリが大きな声で言った。
結構有名なのか?
まぁ、隠す訳じゃないが、記憶が無くなったってことになってるし。
『誰それ?よそ見してんなよ!その間に殺してやろうか?』
私はムカつきながら言った。
何で、余裕ぶっこいているんだよ。
こっちは戦力に余裕なんてあっても、心に余裕ないんだよ。
なのに両方余裕ぶっこいてムカつく。
『合ってるよミドリ!』
何かの紙を見てアオが言った。
『じゃあ本人ってことじゃん。』
ミドリが続けて言った。
『うるせー!余裕ぶっこいてんじゃねーよ!うぜー!』
つい、私は大きな声で言ってしまった。
やばい。
これをピエロに聞かれてたら。
でも、ピエロは来てない。
聞こえてなかったのか。
このままじゃ感情に任せてまた何か言ってしまう。
『ピエロ、戻ってこい。こいつらを殺せ!』
私はピエロ命令した。
『了解です。あの二人ですね?』
私の横にピエロはすぐ来た。
速すぎだ。
まぁ、今はその速さが役に立った。
『そうだ。早く殺せ!』
そう言うと、私はその戦いを見ていた。
『ミドリ、命令がきた。藍ちゃんを連れてこいと。あの力も使っていいと許可が出た。』
アオが言った。
『OK!じゃあ、暴れるとしますか。』
ミドリがそう言った。
『早く殺せ!』
私は嫌な予感がした。
消えた……!??
ミドリが居なくなった。
何処に行った?
『ごめんね。ちょっと眠ってくれる?』
ミドリが私の背後に居た。
嘘だ。
ここは上空だぞ。
いくら運動神経が爆発的に良くても有り得ないだろ。
『何だ?その力は。』
私はすぐにミドリから離れた。
『透明人間になれるんだ。凄いっしょ!』
ミドリは自慢げに言ってきた。
才能とはこれのことか。
『おい!ピエロ、何をしてる!』
そう言って振り向くとピエロが私に向かって刃物を向けていた。
『おい!命令に逆らったらどうなるか分かってるのか?もういい!ゾンビ達、こいつらを殺せ!』
私がそう言うと、『ゾンビならもうこのエリアには居ないよ。』とミドリが言った。
ピエロはどうしてこんなことになってるんだ!
おかしい。
こいつらはおかしい!
『驚いた?僕はね、人を操ることが出来るんだ!』
アオが私の方を見て言ってきた。
『もうこうなったらピエロはいらない。』
そう言って刃物をピエロのお腹へぶっ刺した。
こうすればもう演技をしなくて済む。
『ごめんなさい。私、こんなことしたくなかった。記憶を消されたの。誰かに。それで自分が分からなくなってしまったの。』
私はそう言いながら涙を流した。
『そうだったんだ。ごめんね。無理矢理連れていこうとして。一緒に来てくれる?藍ちゃん』
ミドリが言った。
騙された。
これも演技。
ピエロがこんなことで死ぬわけないじゃん。
『はい。……って言うとでも思った?』
お前らにについて行くわけないじゃん。
『その力面白い。私も使おう。』
そう言って私は透明人間になった。
そして、ミドリの背後に来た。
『死ねよ。』
そう言って自分の手をミドリのお腹に刺した。
手が血塗れになってしまった。
汚い血だ。
ミドリは地上へ落ちていった。
『ミドリ!』
アオはそう言って地上へ行った。
これ以上はもういいか。
『ピエロ、行くよ。』
私はそう言って次のエリアへと消えた。
『分かりました。』
ピエロも続けて消えていった。
こんなことで捕まらない。
私はこの世界で最強だ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。