私はしばらく上空で様子を見ていることにした。
だんだんと減っていく人、だんだんと増えていくゾンビ。
血が飛び散って真っ赤に染まっていく建物。
『もう戻ることは出来ないんだ。』
私はそう呟いた。
『このエリアはゾンビだけになりました。次のエリアへ移動しましょう。』
いつの間にか殺人ピエロが横に居た。
また、気配を感じ取れないかった。
でも、聞かれてないようで安心をした。
『そうか、点検とお知らせをしてくから先に行ってろ。』
私はそう言って地上へ行った。
地上へ着くと、点検を始めた。
そして、誰も居ないことを確認すると上空でへ行き、日本全体に聞こえるように言った。
『あるエリアは全滅した。場所は教えない。教えるわけないだろう?次はどこだろうなぁ?楽しみにしてろ!』
言い終わって次の所へ行こうとした時、泣き声がした。
さっき点検したはずだ。
隠れていたのか?
隅々まで点検したのに。
私は泣き声のする方へ行ってみた。
隙間から小さい足が見える。
私はそこに近づいた。
覗くと、そこには小さい男の子が居た。
五才ぐらいだろうか。
こんな小さい子も殺さなければならないのか。
私は一度深呼吸をし『うるさいなぁ!少し黙れよ。』と言い、刃物を近づけた。
『お姉ちゃん怖いよ?』
一瞬で私の背中に移動した。
驚きで一瞬固まった。
だが、一瞬の間だけですぐにその男の子と正面を向き合った。
『お前何者だ!』
私は聞いた。
油断出来なそうだ。
『僕は榊 アオ。五年前の事件後に結成された魔王and殺人ピエロ討伐隊の一員だ。』
そういう事か。
あれは演技だ。
魔王とは私の事か?
よく分からない。
『我は藍。正体は秘密だ。その魔王and殺人ピエロ討伐隊ってお前以外にもいるんだな?』
私は聞いた。
気になるし、殺す前に利用してろう。
『それぞれの県に三人はいる。一員の人達はそれぞれ違う才能を持っている。普通の人よりも爆発的に運動神経もいい。特に僕はこの東京のリーダーだから東京では一番強いぞ!これ以上東京を荒らせない!お前は敵だな?それなら倒す!』
意外と簡単に教えてくれたな。
『へぇー、そうなんだ。で、魔王って強いのか?』
『あー、強いそうだ!』
『ゾンビも殺すのか?元は人だけど?』
『殺すさ。ゾンビになれば、もう敵だ。』
決まった。
こいつは、ヒーローとは言えない。
私が求めてるヒーローじゃない。
その時だ!
『あーれー?何してるの?アオくん。』
背の高い金髪の男性がゾンビを担いで私の後ろに居た。
『自己紹介をしろ!』
私は強めに言った。
『何こいつ。敵?まぁいいや。俺は田原ミドリだ。で、こいつ殺していいの?リーダー』
『あー、そいつは敵。殺せ!』
才能ってどんな才能なんだ?
『あいつを殺せ!ドラゴン!』
ミドリが急に言った。
ドラゴン?
私は驚いたが、次の瞬間あきれた。
トラが出てきた。
『お前らって本当にあきれるな!うざい!何で私がこんなことをしているか分からないくせに。』
最後の方は小さく呟いた。
私はトラを睨みつけた。
しばらくして、トラは血を吐き死んだ。
私は睨むことでその部分の臓器を潰す事が出来る。
『相手をしてられないな。』
そう言って私は上空へ向かった。
そして、言った。
『我は魔王。この世界を破壊しに来た!我はお前らみたいな奴が大嫌いだ!』
魔王と使ってみた。
面白そうだったから。
こいつらには殺されたくない!
絶対に。
『我を倒すことはお前らには出来ない!逃げてもいいぞ?三秒だけな!』
そう言ったが、逃げなかった。
『逃げなくていいのか?』
私は最後に聞いた。
『逃げない!絶対にだ!決闘だ!』
アオが言った。
迷いは無さそうだ。
『いいだろう!後で後悔しても知らないぞ!』
私はそう言った。
そして、戦いが始まった。
本当のヒーローにはいつ会えるのだろうか。
早く会いたいな。
そう思いながら戦った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。