『藍!お前はこんな事する奴じゃないだろ!何してんだよ!』
俺は叫んだ。
藍は前とは比べ物にならないくらい変わってしまった。
『何言ってんの?これが本当の姿だけど?』
クロは上空から見下ろしながら俺に言ってきた。
『違うだろ!』
何故か、俺はムキになった。
『うるさいなぁ!もう始めるよ!』
クロはそう言うと、攻撃を始めた。
俺は藍から授かった剣を地面に置いて、攻撃を開始した。
今は何を言っても意味が無いような気がした。
あれは藍じゃない。
藍に化けた何かだ。
『藍!俺はあの言葉が嘘じゃないって信じてる!』
俺がそう言った直後だ……!
『ユウト!あの剣を使って私をころし……痛いなぁ……ねぇロク、藍の意識は全て消し去ったよね?』
「そのはずだよ」
ロクの声がクロの頭に響いた。
藍だ……!!
少し間だけど、藍が居た。
"あの剣で私をころし"
途中で藍は途切れてしまったが、続きは予想がつく。
きっと、"あの剣で私をころして"そう言いたかったんだろうな。
俺は少し悩んだが、剣を袋から取り出した。
剣を持っても、変な感覚にはならなかった。
『藍、その願いは俺が叶えてやるさ!』
俺は小さく呟いた。
俺は藍が大嫌いだった。
藍だけのせいでこんな事になったんだ。
そう思っていたから。
でも、これは藍だけが悪いんじゃない。
俺も藍も皆、皆悪いんだ!
そして、その中でも一番悪いのはこの残酷なゲームを作った奴。
『なぁ藍……いや、クロ!お前を殺してこんな地獄を終わらせてやる!』
俺はそう宣言すると、攻撃を開始した。
クロは俺の攻撃に集中しているようだった。
『君さ、その剣捨ててよ。その剣、嫌な予感しかしないんだけど?』
『ビビっているのか?……俺はこの剣を絶対に手放さない!』
そう言って後、俺は連続でクロに斬りかかった。
だが、その中でも一撃しかクロに当たらなかった。
その一撃も少し掠れただけだ。
『いってーな……何してくれてんだよてめえ!』
クロが大きい声で言った。
俺はクロの表情を見た時、ゾクッと怖くなった。
『ねぇこの傷はさ、修復しないんだよね…どうしてくれるの?』
クロは口以外笑っていなかった。
『ロク、もうイイよね?ユウトを殺しても』
クロは小さく呟いた。
「うん、もういいよ。全滅させてよ?クロの周りにいる奴。じゃあ、暴れておいで!」
『もちろん、全員殺すよ。手加減無しでね』
クロはそう呟くと、姿を見えなくした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。