手足が引き剥がされた元親友。
それに対抗するように、元親友の手足はクネクネと動く。
そんな中、ユウトは目を覚ました。
ユウトは重い身体を上げ、周りを見渡した。
ユウトの視線は一点のみを見つめ、金縛りにかかったように固まってしまった。
それから数分後には金縛りが解け、視線をずらした。
「え……なのか……?」
ユウトはしばらく混乱していた。
「起きましたぁ?」
突然、ユウトの目の前に少女が現れた。
ユウトは立とうとしたが、座り込んでしまった。
少女から出ている光衣の圧で動けないのだ。
「あれ、まだ生きてたんですね?」
少女は元親友の腕にザクッと刀を刺した。
だが、それは化け物で、ねっとりと動いて動きは止まらない。
ユウトは口をパクパクさせたあと、強く言った
「俺がやる!どけ!!」
ユウトの出血は魔法にかかったかのように止まっていた。
だからといって、痛みが取れる訳が無い。
この状況で少女には勝てない。
少女は少し口角を上げ、告げる。
「あの方は敵ですよ、貴方は穢されてしまったのですね?けれども、大丈夫です。私達が綺麗にしてあげます。」
少女はそう言い、元親友の首を動体から引き剥がした。
暫くして、元親友の声は少しずつ溶けてしまった。
ユウトの瞳からは、赤色の粒がポタポタと落ちていた。
それをお構いとせず、少女はユウトへと告げる。
「あの方は亡くなりました。ユウトさん、私達のチームへ入りませんか?あちらにいるのは闇蜘蛛 薬闇くんです。乱暴ですが、優しいですよ。他にもメンバーは居ますが、リーダーは私と薬闇くんのみです。」
少女は手を差し伸べる。
「入らない!お前にはきっと分からない、俺の苦しさなんて分からないんだ!」
ユウトは苦し紛れに伝えると、少女の腕を切り落とした。
だが、少女の腕は数秒後に、元に戻っていた。
「化け物はお前らだ!覚えとけ!俺は誰よりも強くなる!そして、お前らを後悔させてやる!」
そう告げ、ユウトは素早く立ち去った。
「あんな奴らに負けない!!!俺なら大丈夫だ…」
ユウトは天に向かい固く決心した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!