ユウトは立ち止まっていた。
少女は無表情のままこちらへ歩いてきた。
少女は俺の目の前で止まり、見つめてきた。
そして少女は口を開いた。
『君の瞳って綺麗だね……私ね、さっきゾンビになっちゃったんだ……少しだけ話聞いてくれますか?何故かまだ自我があるので……あちらで座りましょう!』
少女は崩れた壁に座った。
俺は少し迷ったが、死ぬ前に話ぐらいなら聞いてやろうと思い、少女の隣に座った。
『私、この出来事が起こる前自殺しようとしてたんです……死のうとした時、アイと名乗る人に止められたんです。”生きて、この世界を救って欲しい。君に少し力を与えるね!いつかどんな力か分かるよ…それと、ごめんね…ミサ…私はアイだよ“私、そう呼ばれて思い出したんです…“ミサ”と呼ぶのは小さい頃に別れた親友なんです。さっき、その親友に殺されちゃったんですけどね……すいませんこんな話してしまって…私に与えられた力は……人の心を読む力なんです……アイは私を殺した時、ユウトに“諦めずに戦え!お前の覚悟はそんなものなのか!!!弱いなら強くなれ!”と伝えて欲しいと私に願ってきました……貴方を探すの疲れましたよ……(笑)私はこれが伝わると同時に自我を失うでしょう……そしたら殺してください……絶対ですよ?言ってもよろしいですか?』
少女は俺に同意を求めてきた。
『俺は……もう誰も殺したくない』
俺は俯いた。
『お願いしますよ……”誰も殺したくない“……そんなの誰でも思ってますよ…けれど、君はヒーローになりたいんでしょ!!!くたびれるな!君はこの世界を救ってくれるんでしょ?約束したんでしょ!!!たまには弱音吐いてもいいよ…けど、それを乗り越えなきゃヒーローにはなれない!!!強くはなれないよ!…どーするかは君次第…無理にヒーローになれとは言わないよ……。』
少女は訴えるように言った。
そのおかげで俺は目を覚ました。
『俺は…強くなれるかな?こんな俺でも本当にヒーローになれるかな…』
俺は不安で聞いた。
『そんなん、自分の心に聞け!ちなみに私はなれると思うよ……』
少女はこれから死ぬと言うのに笑顔で言った。
俺は弱い…力もそんなに無い…だからこそ、“皆を守りたい”……“世界を救いたい”……“死にたくない”……“ヒーローになりたい”という気持ちは誰よりも負ける訳にはいかないんだ!!!
……もう答え出てんじゃん(笑)
『決まったよ……俺はこれからを必死に足掻くよ!君の分も…守れなくて死んだ人の分も頑張って生きるよ…覚悟は出来た!』
ユウトの瞳には光が戻ってきた。
『やっぱり、君は強くなれるよ…君に……私の力を全て託します…これで“サヨナラ”だね…君の瞳さっきよりも綺麗で輝いて見える…その方が君らしいよ……』
俺の中に何か入ってきたような気がした。
その直後、少女は悲しい笑顔で死んでいった……。
もう大丈夫だ!任せてくれ!もう死にたい…逃げたい…なんて言わないさ!このゲームを終わらせて見せる!!!
俺は心の中で呟いた。
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更新遅くなってすいませんでした!
これからまた更新していくのでよかったら読んでください(*' ')*, ,)
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。