沢田華菜side
私が頷くと、忙しそうに去っていく先生。
私は、内心憂鬱に思いながらも、プリントを集めるために教室へ足を向けた。
教室へ着くと、私はひとりひとりに声を掛けていく。
あの人達が最後・・・だよね?
そこには、明らかにガラの悪そうな男の子が3人。
私はおそるおそる声を掛ける。
案外、話し方が柔らかくて安心したのも束の間。
怒ったような声と、冷たい、人を突き放すような声が落ちてきて、私の体は震え上がる。
ひぇぇ・・・
怖いよぉ・・・
すぐにでも逃げ出したいような衝動に駆られるが、ぐっとこらえる。
勇気を出して言ったはずなのに、存外小さい声が出た。
無茶を言う二人。
反論しようにも、怖くてできない自分が憎い。
縋るような思いで、如月君を見ても、、、
流石の私も、如月君の予想外の返答に呆れてしまう。
この短時間でですか!?
心の中でそんなツッコミを入れる。
いやいや・・・!
集めないと怒られるのは私なんだって・・・!
私が返答に困っていると、ひとりの女の子が声を上げた。
褒められている気がしない、棘のある言葉。
本人たちに自覚はないんだろうけど、、、
そんな2人の会話で場が白けてしまい、結局プリントは受け取れず・・・
どうしよう・・・!!
私が焦っていると、さっきまで騒いでいた女の子たちの話し声がピタリと止み、視線は私の真後ろで止まった。
何・・・?
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。