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第1話

華菜ちゃんはいい人。
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2022/04/18 12:03
沢田華菜side


先生
先生
悪い、沢田。
授業で使ったプリントを全員分あつめてきてくれないか?
先生
先生
先生は用事があってな・・・
沢田華菜
沢田華菜
はい。
先生
先生
ありがとな!
私が頷くと、忙しそうに去っていく先生。


私は、内心憂鬱に思いながらも、プリントを集めるために教室へ足を向けた。












教室へ着くと、私はひとりひとりに声を掛けていく。




あの人達が最後・・・だよね?


そこには、明らかにガラの悪そうな男の子が3人。

私はおそるおそる声を掛ける。


沢田華菜
沢田華菜
あの、、、っ
如月咲
如月咲
あっ!
沢田サンじゃ~ん
如月咲
如月咲
どーしたの?
案外、話し方が柔らかくて安心したのも束の間。
鳥井俊介
鳥井俊介
チッ
何の用だよ
萩村大樹
萩村大樹
何?
怒ったような声と、冷たい、人を突き放すような声が落ちてきて、私の体は震え上がる。

ひぇぇ・・・
怖いよぉ・・・

すぐにでも逃げ出したいような衝動に駆られるが、ぐっとこらえる。
沢田華菜
沢田華菜
せ、先生に、、、授業のプリントを集めて来てって言われて・・・
勇気を出して言ったはずなのに、存外小さい声が出た。
鳥井俊介
鳥井俊介
は?
そんなの、どうとでもごまかしとけよ
萩村大樹
萩村大樹
やってないから出さない。
分かったらどっか行って。
無茶を言う二人。

反論しようにも、怖くてできない自分が憎い。


縋るような思いで、如月君を見ても、、、
如月咲
如月咲
ごめんねぇ~
僕それ、さっき女の子に渡しちゃった~
流石の私も、如月君の予想外の返答に呆れてしまう。


この短時間でですか!?

心の中でそんなツッコミを入れる。
如月咲
如月咲
てかさ~、沢田サンもあんな先生に従わなくていいよ?
いやいや・・・!

集めないと怒られるのは私なんだって・・・!





私が返答に困っていると、ひとりの女の子が声を上げた。
東城唯
東城唯
咲君、出してあげなよ~
せかっく沢田さんが集めてるのにさ~
間宮琴
間宮琴
てか、あの3人のも集めてあげるなんて、ホント沢田さんいい人すぎ~
東城唯
東城唯
確かにね
褒められている気がしない、棘のある言葉。

本人たちに自覚はないんだろうけど、、、



そんな2人の会話で場が白けてしまい、結局プリントは受け取れず・・・




どうしよう・・・!!


私が焦っていると、さっきまで騒いでいた女の子たちの話し声がピタリと止み、視線は私の真後ろで止まった。



何・・・?

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