外の騒がしさに目を覚ますと、暗く冷たい部屋にいた。
右手で壁を探ると電気のスイッチの様なものがあったため、パチリと明かりを点ける。
見覚えのないその空間にるぅとは不気味な空気を感じとった。
制服の右ポケットに手を突っ込んで自身のスマホを取り出す。
が、圏外と示された画面にるぅとは肩を落として電源を落とす。
ベッドから降りて辺りを見回すと、ベッドの下に緑色のカードと一冊の冊子があることに気付いた。
それをベッドの下から引き抜くと、冊子には[ルールブック]と書かれている。
カードとルールブックを照らし合わせて読んだるぅとは、制服の胸ポケットにカードを大切にしまった。
次に、ここに来た経緯について思い返そうとベッドの上に座り込む。
学校帰りで、莉犬と一緒にいて、"リアル人狼ゲーム"って書かれた広告をタップしたような。。
そこまで思い出すとるぅとはなにやら耳をぴくりと動かし、黄色い扉に耳を当てた。
そう呟いたるぅとは扉の前で大きく深呼吸し、意を決したように扉を引いた。
扉を開いた瞬間、るぅちゃん!と声をあげた赤髪が小動物のように駆け寄ってきた。
莉犬とるぅとは互いを確認し合うようにハグを交わした。
桃髪の男性が莉犬の名を呼ぶ。
あ、うん!紹介するね、彼はるぅとくん!俺と同い年で、すっごく仲良いお友達!!
莉犬は持ち前の明るさでるぅとをそう紹介した。
どうやらるぅとは人見知りのようで、莉犬の後ろに身を隠すようにして自己紹介をした。
しかし、るぅとの方が高身長であるため隠れきれていなかった。
莉犬はるぅとに彼らの名前を教えた。
るぅとは一人一人、ころちゃん、なーくん、莉犬、さとみくん。と顔と名前を照らし合わせるように確認をした。
そして空いている2つの席のうち、莉犬とさとみの間の席に腰を下ろした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!