第4話

第一章 さとみ
1,022
2020/12/23 05:00
目を開けるとそこには見慣れない景色が広がっていた。

なんだか肌寒いと思えば、いつも添って寝ている愛猫と愛犬が居ないことに気がつく。
Satomi
Satomi
ひな〜、モカ、ミミ…?シャルもいない……ってあれ、ここどこ…?
いつものように声をかけても返事がない。

自分の住んでいた部屋よりも物が少ない分、広く感じる。

何故こんな所にいるのか。回らない脳で必死に考える。

すると、1枚のカードと冊子が目に飛び込んできた。
Satomi
Satomi
[ルールブック]…。リアル人狼ゲーム…?あぁ…!!
さとみは思い出したかのように声をあげると、ルールブックをペラペラとめくる。

どうやら自分の知っている人狼ゲームと同じようだ。

そしてカードに目をやり、なんの表情も見せずにジャケットの内ポケットにしまい込む。

ピンク色をした扉の前で立ち止まり、外の音に耳を澄ます。

声……?数人の話し声が聞こえる。

さとみはぐるりと周囲を見渡し、他に見落としているものがないかを確認した。

それから、思い切って扉をぐいと引く。
青、紫、赤。

派手髪の3人がこちらを見つめる。

否、自分も髪をピンクに染めているため何も言えないが。
Satomi
Satomi
えっと…これは……?
どうすればよいのか分からない状況に、さとみは声を漏らす。
Colon
Colon
お兄さんも座りなよ。
青髪の少年がそう言う。

…風邪をひいているのだろうか?

さとみはぼんやりとそんなことを思う。

声がガサガサしている気がする。地声だったら申し訳ないが。
Satomi
Satomi
あ、あぁ。あの…君たちは?
名前を聞いてみると ころん、ななもり、莉犬というそうだ。

さとみは出来る限り呼び捨てで呼びたかったのだが、ななもりだけはなーくんと呼んで欲しいとせがんできたため、なーくんと呼ぶことにした。

さとみも自己紹介も頼まれたため、すくっと立ち上がった。
Satomi
Satomi
俺はさとみ。気軽に呼んでもらって結構。年は24。航空会社で働いてるんだけど…なーくんのお勤め先は?
Nanamori.
Nanamori.
さとみくん、ね。OK。俺は法務職に就いてるんだけど…さとみくんの航空会社とも何かしら関わってそうだね。
そう話すななもりは気さくな様子で、不思議とさとみの心を落ち着かせた。

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