第9話

9時間目
380
2020/12/14 00:46
皆が渚くんの無事を確認するために近寄ると、何やら幕状のものが覆いかぶさっている。その中にいる渚くんは無事らしい。しかし、肝心のタコもいない。どこだろう?と思っていると上から声がする。
殺せんせー
殺せんせー
寺坂、吉田、村松。
首謀者は君等だな。
真っ黒だった。影と同化していて気が付かなかった。名前を呼ばれた3人はたじろいで弁明を図ろうとしていたものの、マッハ20に対しては遅すぎた。教室を出てから瞬きをするくらいの時間で戻ってくると、全員分の表札を両手…全触手いっぱいに抱えていた。
殺せんせー
殺せんせー
政府との契約ですから君達に・・・危害は加えないが、次また今の方法で暗殺に来たら君達以外・・・・には何をするかわかりませんよ。
全員がゾッとした。そりゃあマッハ20に対して、僕らのできることなんてたかが知れている。殺せないんだ、家族の守りようがない。何も出来ない無力感…もしかしたら、E組メンバーにはこの学校での無力感と重なって見えたりもしたのかもしれない。
寺坂に関してはビビりすぎて
寺坂竜馬
寺坂竜馬
なっ…何なんだよテメェ…

迷惑なんだよォ!いきなり来て地球爆破とか暗殺しろとか…迷惑な奴に迷惑な殺し方して何が悪いんだォ!!
などと喚き散らしている。何も考えていなかったわけじゃないんだ…意外。
タコはと言えば、逆ギレをかました寺坂を宥めるように褒めた。
殺せんせー
殺せんせー
迷惑?とんでもない。君達のアイディア自体はすごく良かった。
渚くんの頭を触手で撫でながら、顔に丸だとかバツだとか浮かべてそう言った。
殺せんせー
殺せんせー
人に笑顔で胸を張れる暗殺をしましょう。君たち全員それができる力を秘めた有能な暗殺者アサシンだ。
そういってタコは先生らしく教えをとく。

そこで、思いついたように声を上げたのはカエデちゃんだった。
茅野カエデ
茅野カエデ
殺せない…先生…あ、名前。「殺せんせー」は?
少しだけ、タコが嬉しそうにしていたのを私は見逃さなかった。

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