皆が渚くんの無事を確認するために近寄ると、何やら幕状のものが覆いかぶさっている。その中にいる渚くんは無事らしい。しかし、肝心のタコもいない。どこだろう?と思っていると上から声がする。
真っ黒だった。影と同化していて気が付かなかった。名前を呼ばれた3人はたじろいで弁明を図ろうとしていたものの、マッハ20に対しては遅すぎた。教室を出てから瞬きをするくらいの時間で戻ってくると、全員分の表札を両手…全触手いっぱいに抱えていた。
全員がゾッとした。そりゃあマッハ20に対して、僕らのできることなんてたかが知れている。殺せないんだ、家族の守りようがない。何も出来ない無力感…もしかしたら、E組メンバーにはこの学校での無力感と重なって見えたりもしたのかもしれない。
寺坂に関してはビビりすぎて
などと喚き散らしている。何も考えていなかったわけじゃないんだ…意外。
タコはと言えば、逆ギレをかました寺坂を宥めるように褒めた。
渚くんの頭を触手で撫でながら、顔に丸だとかバツだとか浮かべてそう言った。
そういってタコは先生らしく教えをとく。
そこで、思いついたように声を上げたのはカエデちゃんだった。
少しだけ、タコが嬉しそうにしていたのを私は見逃さなかった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。