修学旅行当日。とんでもない格好で来たビッチにも、E組だけ普通車に乗るいつもの感じも興味が無いのでスルーして新幹線へ乗り込む。3人がけの席、窓側に座りロールカーテンを下ろす。出発前に寝入ってしまおうと目深にフードを被る。隣に人が座った気配がしたが、まぁ誰が座ってもいいかなと思って無視した…ら、向こうから話しかけてきた。
そのまま壁に寄りかかって寝た。目的地に着いて起きたら、エアコンに直あたりしていたせいか喉が少し痛い。目の前にお水が差し出される。
お水を受け取り、荷物を持って降りる。溶けている先生よりは乾いた喉を潤すのが先決だろう。1口だけ口に含む。すぐ横で神崎さんが予定をまとめたノートが無くなったと言って探していた。ノートにまとめるあたりは神崎さんらしいと言えるが、無くすなんて珍しい。
一日目。かつてこの街が何処よりも栄えていた時代の暗殺に思いを馳せつつ、その跡地を巡る。そして、目の前のターゲットをより確実に仕留めるため、明日の下見に行く。人通りが少ない、言ってしまえばもの寂しい通りを歩く。
こういう時率先して前に出るのはやはりカルマくんか…もう速攻で回れ右して逃げようよ…と思ったけど、後ろからも来ていた。そらそうか。しかし、手馴れている気がする。カルマくんの援護に頭を割く。カルマくんの後ろの男が鉄パイプを振り上げる。咄嗟に庇うと肩に直撃した。あまりの痛みに一瞬意識が眩む。カルマくんに腕を掴まれて倒れずに済んだものの、このままここに居ては足を引っ張りそうだ。逃げろ、隠れろとほかの班員に伝え、自分も身を隠す。
束の間の安堵のせいか、肩の痛みのせいか…そのまま意識を手放した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。