第10話

10時間目
350
2020/12/14 01:16
渚くんの自爆特攻から数日。暫くからかわれていた渚くんだったが、それも下火になった。
昨日は杉野君が野球のボールで暗殺をしようとしたらしい。
肘や手首の柔らかさを生かした投球、詰まり変化球を勧められてたって渚くんに聞いたけど、マッハ20の世界に生きるタコにとっては回転だって見えるのでは?
因みに、そのタコはと言えば…てるてる坊主よろしく木に吊るされている。花壇の花を荒らした罪に問われ、処刑中だ…。

これでもかすり傷1つ負わせることができないなんて、暗殺できる気がしないんだけど。
あなた

(1人で闇雲に撃っても当たるわけが無い。弾の速度、連射力…どれをとっても拳銃ではこいつに避けられる。なら…!)

金髪少年…名前は確か前原?くん。ナイフで突く彼の動きを10秒観察。次の手を読んでタコの回避行動を予測。その位置を狙って2発弾を打ち込む。タコが焦った顔になるのと同時にバキッと音がした。
一瞬の静寂。直後「未だ、殺れーッ!!」と全員が掛け声を上げながら追いかけていく。全員が声を張り上げる。
あなた

お前、今のわざとだろー!

私の叫びはこの一点に尽きる…。タコは縄に絡まりながらも解くと屋根上に逃げた。今から行っても間に合わないな、こんなことになるなら先回りしておけば良かったな…と思いながら先生らしくない暴言を聞いていると。
殺せんせー
殺せんせー
明日出す宿題を2倍にします。
だ、そうだ。器が小さいタコだ事。
下校の時刻。すっかり一緒に帰るのが定番となった渚くんとカエデちゃんと一緒に山を下りる。
茅野カエデ
茅野カエデ
そう言えば、明日から防衛省の烏間さんが体育の時間受け持つことになったんだって。殺せんせーが木に吊るされてる時に来てて、教えてくれたんだ。
ぼんやりと二人の会話を聞きながら、それなら1度は出ておいてもいいかな…と思い、とりあえず今日は帰ったら体育着の準備をすると決めた。

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