そう言って俺は、部屋を出た
どうしてもあの空間と空気に耐えられなくて
ゆうたの顔を、、見れなくて、
すぐ玄関に向かって、
他人の家かのように外に出た
きらわれた、よな...。
しばらく扉の前で立っていると
見覚えのある人影が近づいてきた。
俺は俯くことしか出来なかった
グイッ
急に腕を引っ張られ、こけそうになるけど
今の俺には抵抗する気力もない
ひゅうがは優しく俺の腕を掴んだまま前を歩いてくれた
途中、涙が出そうになったけど
何とか必死にこらえた
 ̄ ̄車内にて
ひゅうがは、車を駐車場に停めたまま
運転席から話しかけてきた
目線はこっちを向いていない
ひゅうがには話せる...気がする、
いや話さなきゃ行けない気がした
俺は目に涙を浮かばせながら
何とか伝えようと言葉を発した
ひゅうがは俺の方に顔を向けて
言葉に詰まっている俺に優しく
なんて言うから
ひゅうがの温かさに耐えきれず
今まで誰にも言えなかった気持ちが
俺の中から溢れてきた
そう言ってひゅうがは、俺を抱きしめてくれた
それからしばらく俺は、
ひゅうがに包まれながら泣き続けた
 ̄ ̄しばらくして
俺がどうしたいか。
いや俺は、猛烈にアタックするしかできない
あとは、ゆうたが決める
だけど、俺はやっぱり、、
ひゅうがはそう言うと、スマホをいじり始めた
出来るわけないだろ
俺は怖くなって、
出ていこうとするひゅうがの袖を掴んだ
ひゅうがは俺に微笑んで
ゆっくり車から出ていく
ガチャ
バタン
ひゅうがのお陰でさっきより怖くなくなった
それでもやっぱり怖いものは怖いけど、
いつも味方でいてくれるひゅうがに、何度助けられたことだろう
良い友達を持ったな、と毎度実感する
そんなことを考えている暇もなく
運転席にゆうたが乗ってきた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。