第14話

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3,504
2021/09/08 12:34
あなた
…そこで何してんの
ジェニ
ジェニ
あ、おっそい。またたぶらかしてきたの?
あなた
買い物行ってただけ。て言うか15時でしょ?
ジェニ
ジェニ
我慢できなくて来ちゃった
あなた
いや、それで私に遅いとか言わないでよ
ジェニ
ジェニ
とりあえず今日は泊まってくから
あなた
聞いてませんが?
ジェニ
ジェニ
言ってないもん。リビングまで連れてって?
あなた
歩けるでしょ。早く立って自分で歩いてよ
ジェニ
ジェニ
冷たいなぁもう…あ、何その紙袋。お土産?
あなた
私の新しい服です。てか早く行ってよ。めちゃくちゃ邪魔。踏むよ?
ジェニ
ジェニ
なんか私にだけ当たり強くない?
あなた
そんなことないです。早く。立つ。動く。歩け。
ジェニ
ジェニ
厳しいなぁ…




ダラダラと立ち上がった彼女の後に続いて、私もリビングへと足を動かす。




ジェニオンニはいつからこんなにナマケモノになったんだろうか。




第一印象はめちゃくちゃに怖かった。私とロゼとたった一つしか変わらないのにめちゃくちゃ目付き悪かったし。




実際急に話しかけられた時とか身構えちゃったし。




ロゼと知り合いじゃなかったら絶対今話してない。




それから色々あって今に至る訳だけど…とりわけ思い出せるような思い出はない。




だって他学年だし。帰り道も反対方向で委員会も一緒になったことないしね。




この社会に入ってこの業界に首突っ込んだ時に一番楽しそうに話しかけてきたのこのオンニだったけど。




それまで目付き悪い人って印象が一瞬でひっくり返されたよね。めちゃくちゃ可愛い笑顔で近寄ってくるんだもん。




まぁだからってすぐ仲良くなれたわけでもないけど。




だったらなんでそういうことする仲になったんだろ…自分でもわかんないや。




リビングへ着いて、二人してダラダラとカーペットの上をゴロゴロしていると。




突然ジェニオンニが変なことを聞いてくる。



ジェニ
ジェニ
あなたはさぁ…何で一人に決めないの?
あなた
…それ誰かにも言われた。
ジェニ
ジェニ
あそう?笑 普通に気になる。そんなイケメンで紳士的なのに。
あなた
別に…単純に可愛いとかこの人がいいって人がいないだけだよ
あなた
それにこっちの方がお金入るし
ジェニ
ジェニ
うわぁ…サイテーだサイテー
あなた
誰のせいだと。この業界に引っ張ったのはオンニ達四人でしょうが
ジェニ
ジェニ
別に強制してないし
あなた
いや、私達から離れたらどうなるかわかってるよね?なんて脅し文句でしょ
ジェニ
ジェニ
そんなこと言ったっけ?笑
あなた
忘れるなんて…今日の夕飯作ってね
ジェニ
ジェニ
え?!何で!!
あなた
久しぶりにオンニの手料理食べたいなぁ?
ジェニ
ジェニ
なっ…//その顔は反則…!
あなた
どの顔よ笑 ただ普通に笑っただけですけど
ジェニ
ジェニ
ほんと…あなたは自覚した方がいいよ…
あなた
どう言うこと笑





そんな会話をしながらも、ゴロゴロは変わらない。




こんなナマケモノになってしまったのもきっとジェニオンニのせい。




そんなことをしていると、思い立ったかのようにジェニオンニが私に気を遣ってコーヒーを淹れてくれると言う。




ほんとに、一年に一回あるかないかくらいのジェニオンニの優しさに乗ってやろうとキッチンを預けて、私はソファへと倒れ込む。




あー…疲れた。まさか午前中からあんなことするとは思わなかったし。




…テレビでもつける?ジェニオンニはいつも無音だとつまんないって連呼するし。つけとくか。




そう思って電源を入れたテレビに映るのはついさっき会ったばかりのナヨンさんと他八人。




めちゃくちゃ堂々とレッドカーペットの上を綺麗に歩いている姿に流石の私も釘付けになってしまう。




すっご…これがアイドル…アイドル?なんかもはや女優みたいな感じするけど笑




隣のジェニオンニは見慣れた様子でその映像を見つめている。




いやぁ…歓声がすごいな。改めて見ると。




そんなすごい人っちだとは思わなかったわ…笑 




あんな軽率な真似して私殺されたりしない?大丈夫?



ジェニ
ジェニ
この人達とも知り合いなの?
あなた
あ、ありがと。ジスオンニの紹介でついこの前ね
ジェニ
ジェニ
ふ〜ん…たらし度が増したんだ
あなた
なんて?
ジェニ
ジェニ
何でもな〜い
あなた
たらしたらしって言うけどさ、それ言うならリサも似たようなもんじゃん
ジェニ
ジェニ
リサは節度守ってるからね。一緒にしたらダメだよ
あなた
私だって守ってます〜。
ジェニ
ジェニ
守ってたらああ言うことやそう言うことはしません〜
あなた
え、リサしてないの?
ジェニ
ジェニ
当たり前じゃん。媚び売ってその気にさせるだけさせて金毟り取る女だよ
あなた
ほへぇ…それはそれですごいね。いつか無理矢理襲われないか心配だわ
ジェニ
ジェニ
それは大丈夫じゃない?毎回ターゲット変えてるらしいから
あなた
わぁ怖い。それなら私よりリサの方がたらしじゃん
ジェニ
ジェニ
…確かに?





二人でリサをディスって笑い合いながらテレビを見続ける。




夕飯にはまだ早い時間だし、ジェニの求めてるそう言うことをするにもまだ早い。




何もすることがないからテレビのBGMを流しながら最近の近況報告とか雑談とかして時間を潰す。




正直最近そう言うことばっかで疲れてきてるんだよね。




いくら可愛いったってそう言う気分じゃない日もあるわけだし。




客とかなら仕方ないけどさ、この人ら四人は客じゃないわけじゃん。




…何で私この人らの相手してるんだ?




そんな疑問を持ったまま、一口コーヒーを口に注いでからソファへ寝そべると突然私を襲う睡魔達。




あら…私そんなに疲れてたのかな。いつもなら眠くないはずなんだけど。




まいっか。眠いし。まだ時間あるしジェニオンニも許してくれるでしょ。



あなた
オンニ〜…寝ていい?
ジェニ
ジェニ
何で?眠い?
あなた
うん…急に来た笑
ジェニ
ジェニ
ふふっ…そっか、寝ててもいいよ。
あなた
え…珍しく優しいね…
ジェニ
ジェニ
いつも優しいでしょ?
あなた
はいはい笑 じゃ、しばらくおやすみなさい…





突然の睡魔達に思考を預けて、私は夢の中へとダイブする。




最後の視界に映るジェニオンニの笑顔はどこか寒気を覚えさせるものだった。


























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