第11話

k
3,641
2021/08/18 14:51




そんなくだらないことを話してるといつの間にかデパートへついていたみたいで、人集りのすごい駐車場へ駐める。




そういえばこの人、全く変装してないけど大丈夫なのかな。一応人気アイドルなんでしょ?



あなた
あの、ナヨンさん?
ナヨン
ナヨン
ん?何?
あなた
変装とかしなくて大丈夫なんですか?
ナヨン
ナヨン
え、これでも変装しているつもりなのだけど...?
あなた
...変装って言葉知ってますか?
ナヨン
ナヨン
失礼ね!しっかりメンバーにも聞いてきたわよ!
あなた
それでいいよって言った人に伝えといてください。それは変装じゃありません。
ナヨン
ナヨン
じゃあどうしろって?私化粧ポーチと携帯とお財布しか持ってきてないのよ?
あなた
ん〜...じゃあ、私の帽子でも被っててください。
ナヨン
ナヨン
え、いいの?
あなた
別に。私は変装する必要ありませんから




ナヨンさんの前にあるグローブボックスからいつから入っていたか分からない帽子を手渡して運転席を立つ。




私が運転席から降りると少し焦ったように降りる準備をし始めるから、焦らなくていいですよの意を込めて助手席側の扉を開く。




するとまた動きが固まってこちらを見つめてくるから、いつもはしない微笑みサービス的なのをしてあげるとまた頬を染めて俯いてしまう。



ナヨン
ナヨン
...流石たらしね。女性の扱い方わかってるわ...//
あなた
たらしってなんですかたらしって
ナヨン
ナヨン
イェジが言ってたわ。あなたさんのこと聞いたらたらしだって。
あなた
...よりにもよってなんでイェジさんなんですか
ナヨン
ナヨン
相談されたのよ、好きな人から連絡が帰ってこないって。
ナヨン
ナヨン
話聞いててもはっきりしないから誰って聞いたらあなたの名前が出てきたわ
あなた
はぁ...じゃあ私と会う前から私のこと知ってたんですか
ナヨン
ナヨン
まぁ...
ナヨン
ナヨン
ここまでイケメンとは思わなかったけど
あなた
はい?なんて言いました?
ナヨン
ナヨン
...なんでもないわ。行くわよ
あなた
え?あ、はい




何かボソッと言った彼女が少し顔を隠しながら助手席を降りる。




置いていかれないように彼女に釣られて運転席を降りると、いつの間にかスタスタと歩いて行ってしまうナヨンさん。




…置いてくなよ笑

























ナヨン
ナヨン
それで、あなたさんは何を探してるの?
あなた
いい感じのペアルックが欲しいんですよね
ナヨン
ナヨン
…誰と一緒に?
あなた
それは…お楽しみですよ
ナヨン
ナヨン
お楽しみって何よ…ペアルックなら相手の子を連れてくればよかったじゃない
あなた
秘密にしたいですから
あなた
ナヨンさんはペアルックするならどんな服がいいと思います?
ナヨン
ナヨン
派手なのは好きじゃないわ。だからって落ち着きすぎも好きじゃないけど
あなた
…難しいですね笑 じゃあまずあのお店入りましょうか





気難しい顔をしている彼女の手を引いて、目の前にあるお店へと入る。




少し顔の赤い彼女が、お店に入った途端にキラキラと顔を輝かせるのが可愛くて可愛くて。




あの少しのヒントでこの人をこんな顔にさせられるなんて、




私はもしかしたらデートの天才なのでは?なんて自惚れてしまう。




中にはシックな服からカジュアルファッションまで取り扱っていて、




初めてきました風を装っている私も数えられないほどお世話になっている。




それだけ行っていれば勿論店員さんとの仲も良くなるわけで、今日ここにきたのは偶然ではなく必然である。




もう既にナヨンさんの欲しがりそうな服を裏で用意してもらっている。




あとはナヨンさんがその服に目をかけてくれるだけで全てが上手くいく。




こんなことを言っているとまるで私が悪い奴みたいに見られそうだけど、これも一応ナヨンさんのためにやっていることだから大丈夫でしょ。




そう思いながら私も見て回っていると、めちゃくちゃキラッキラした目で見つめるナヨンさんの目。




その先には…私が指定した服。



あなた
…ナヨンさん?それ欲しいんですか?
ナヨン
ナヨン
あ、いや…これペアルックにいいんじゃない?
あなた
本当ですか?すごい目キラキラしてましたけど
ナヨン
ナヨン
別に…私にはちょっと着こなせそうにないわ。すごい好きな服だけどね
あなた
そうですか…じゃあちょっと着てみてください。
ナヨン
ナヨン
…え、私が?これを着るの?
あなた
えぇ。他に誰がいるんですか?笑
ナヨン
ナヨン
で、でもこれはペアルックだって…
あなた
うだうだ言わずに早く着てきてください
ナヨン
ナヨン
ちょっと...





ナヨンさんの欲しがりそうな服。ドンピシャだったようで、私の予想よりも早く食いついてくれた。




ナヨンさんを試着室に押し込んで、知り合いの店員さんに持ってきてもらう。




絶対あれはナヨンさんの目にかかると思ってたし、絶対似合う。




今までどんだけの女性を見てきたと思ってんだ。




誰に向けたものでもない気合を控えめのガッツポーズに込めていると、カーテンの向こうからかなり弱々しい声が聞こえてきた。



あなた
開けてもいいですか?
ナヨン
ナヨン
いい…けど、なんか恥ずかしいわね…//
あなた
大丈夫ですよ、ナヨンさんならなんでも似合いますから
ナヨン
ナヨン
っ…//そういうところがタラシって言われるのよ。自覚した方がいいと思うけど?
あなた
まぁまぁ笑 じゃ、開けますね





あ、待って、なんていう彼女の言葉が聞こえてきた時にはもう遅い。




カーテンを開くと目の前には…どういう状況なのか少し理解し難い。




理解した時には速攻カーテンを閉めていて、なぜか私も中に入ってしまった。




だってこんな格好、私ですら見ていいか分からないのに他の人に見せられるわけない。





































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