2人が付き合ったことは
なんとなくわかった
だけど
部室でもどこでも
特に変わった雰囲気もなく
いつも通りの日常だった
ありがたいのかなんなのか
自分でもよくわからない
じゃぁ今日はお先に!
マサイ先輩が
小さく手を上げて
部室をあとにした
お疲れさまでしたー!
俺とンダホとモトキの
声が揃った
ンダホが
あれ?
あなたちゃん
一緒に帰らないの?
と声をかけた
今日は
寄るところあるから
先に帰って大丈夫って
言ってあったから
あなたが答えると
あ、そうなんだ
とンダホが笑った
ねぇ、シルク!
ちょっと付き合ってくれない?
急に
俺に話をふってきた
え?俺が?
そうそう!
ちょっと頼みたいことが
あるんだけど…
いや…
と言いかけて
俺は言葉を飲んだ
マサイ先輩と行けよ
って
正直思ったし
マサイ先輩
この話知ってんのかよ
って聞きたかった
俺じゃなくてもいいだろ
ぼそっと呟くと
だめだめ!
シルクじゃなきゃダメなの!
と強く言われてしまった
いいんじゃない?
マサイ先輩も帰ったし
今日ぐらいは
モトキが言った
ん、わかったよ…
俺は納得しないまま
一応わかったフリをした
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。