あなたside
あれから2年が経った。
私達はなんとか軍と警察の支持を得て、
ニューヨークから離れることが出来た。
当時ヘリから見たNYの街中は、
荒れ狂う老若男女…
いや、感染者と市民の奇声で溢れていた。
こんなの現実じゃない、何度もそう願った。
正体不明の謎の寄生菌によって発症した謎の感染症。
感染した者は、自我を失って…凶暴化する。
感染者に噛まれた者は24時間以内にそうなる。
ワクチンが開発されるまでは…
私達は隔離地域と呼ばれる所で過ごすことになった。
隔離地域の外は感染者や拠点の略奪を狙う
他の勢力で荒れているため、
よほどの理由がない限り
市民が隔離地域外に出ることを許可されなかった。
私は、チェウォンさんとサナさんと一緒にいる。
こんな世の中になった以上は、
子供は役に立たないからっていう理不尽な理由で
すぐに殺されてしまう。
チェウォンさんが軍を説得したお陰で
私はなんとか殺されずに済んでる。
このパンデミックのせいで、
私は1番大切な人とはぐれてしまった。
"リュジン"
生き残った市民に、
リュジンの画像を見せて聞いて回った。
けれども彼らは縁起でもないことを言う。
"ここにいない人は全員感染者になってる"って。
リュジンは絶対生きてる…
根拠はないけど、そんな気がする。
あれ以来食糧は貴重なはずなのに…
もはや空腹感すらも感じなかった。
でも、チェウォンさんから渡されたチョコを
いざ口に含むと…
"ほらそういうとこ~"って、
笑いながら頭をぐしゃぐしゃに撫でてきた。
何故か分からないけど、嫌じゃなかった。
よくこんなポジティブでいられるよなぁ。
私が、平常を保ててるのは…
チェウォンさんのお陰なのかもしれない。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。