第14話

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2021/01/05 10:00
リュジンside








あなたはきっと気づいていない。


私があなたに、ある感情を抱いていることを。







あなたを運び屋として採用してから、


もう4年は経っている。


その時は私もあなたもまだ幼くて…


運び屋を任せるのは不安しかなかったけど。


容量もいいし…今では本当によく出来る子として、


認識している。








あなたは私と同じくLieで、


初対面の人にはものすごく冷たい。


私ですら、打ち解けるのに2年もかかった。








最近よく思う。


私がLieじゃなければ…


もう少し素直に気持ちを伝えられたのかな。









昨日の夜は結局あなたが先に寝てしまって、


興味本意であなたの耳朶に触れてみると…


トクッ トクッ と、ゆっくり脈打っていた。







"marking"の跡形もない、綺麗な耳朶。


寝ている間に確かめてしまえ、


そう何度も思った。


針を耳朶に近づけては離し、また近づけて…


ただ、只管それを繰り返していた。








あなたにはまだ早いんじゃないかなって。


きっといつか…


あなたからそうしてくれることを願って、


耳朶に優しくキスを落とした。









窓越しに聴こえる雨音が、


必要以上に切なく感じた夜だった。











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