カラン…
小さく心地の良い氷の音が鳴る。
ゆらゆらとキャンドルの火が風に靡いている。
夜の雨など聞こえない_____________
通い慣れた、小さなBAR。
ここには席が、たったの5つしかない。
そんな小さな部屋の中に3人。
マスター。
1番角から2つ椅子を空けて座る、1人の女の人。
そして、俺。
どこか寂しげな貴方に声をかけた。
それでも貴方はこっちを向かない。
カラン…
小さく音を立てながらグラスを傾けた。
不意に見せた、横顔。
それでもまだ、横顔しか見せない。
オレンジ色のランプが灯る。
小さな部屋に2人。
頬を赤く染めた、女の人。
そして、俺。
何か言いたげな貴方。
でも今夜は言葉を飲み込んで、頷いて。
全て俺に預けて_________________
ようやく、瞳が合った。
時計を外した__________________
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。