第20話

Street Blues
322
2020/08/28 16:00
カラン…






小さく心地の良い氷の音が鳴る。




ゆらゆらとキャンドルの火が風になびいている。



夜の雨など聞こえない_____________










通い慣れた、小さなBAR。


ここには席が、たったの5つしかない。


そんな小さな部屋の中に3人。


マスター。


1番角から2つ椅子を空けて座る、1人の女の人。











そして、俺。












丸山隆平
ここは、初めてですか?









どこか寂しげな貴方に声をかけた。








あなた

ええ









それでも貴方はこっちを向かない。








カラン…





小さく音を立てながらグラスを傾けた。






不意に見せた、横顔。





















丸山隆平
お綺麗…ですね
あなた

丸山隆平
…何かあったんですか?
あなた

別に、何も



それでもまだ、横顔しか見せない。



あなた

帰ります

丸山隆平
待って
あなた

丸山隆平
俺が奢ります
あなた

丸山隆平
それに、外はまだ雨です
あなた

ナンパ、ですか

丸山隆平
…そ、うですね
あなた

…忘れさせて

丸山隆平
え?
あなた

忘れさせてくれませんか













オレンジ色のランプが灯る。



小さな部屋に2人。


頬を赤く染めた、女の人。







そして、俺。









丸山隆平
本当に俺でええの




何か言いたげな貴方。




でも今夜は言葉を飲み込んで、頷いて。



丸山隆平
もう、今夜は帰さへんよ






全て俺に預けて_________________










丸山隆平
俺だけを好きになって





ようやく、瞳が合った。
















































時計を外した__________________

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