第9話

届けたくない。②
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2019/01/27 05:12
あーあ。痛いだろうな。























最初は頬に痛みを感じた。

そして、腕、足、手のひら。


いろいろな所が痛い。
九条 愛里
九条 愛里
あはは!
九条 愛里
九条 愛里
ざまーみろ!
九条 愛里
九条 愛里
梓くんと立夏くんと一緒にいるのが
いけないんだよ!
私をいじめた理由がそれ、ね...
九条 愛里
九条 愛里
次は鯨野かなぁ♪
保坂 恵麻
保坂 恵麻
やめて。
九条 愛里
九条 愛里
は?
保坂 恵麻
保坂 恵麻
碧衣を傷付けないで。
保坂 恵麻
保坂 恵麻
私だけで良い。
私がそう言うと、九条は醜い笑顔を浮かべた。
九条 愛里
九条 愛里
あはは。友達思いの良い子だねぇ?
九条 愛里
九条 愛里
でもね、現実はそう甘くないんだよ?
九条 愛里
九条 愛里
じゃあね。私は帰るから。
九条はそう言い残して帰っていった。

本当、腐ってるなぁ。


まぁでも、碧衣は私が守る。


私のことを真っ正面から向き合ってくれた
人だから。

大切な人だから。


それにね、梓と立夏がいる。


私たち4人でいれば、無敵なんだから。





















鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
恵..麻...?その傷...
おっと、何故か碧衣がいたようだ。
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
何か、心配だったから戻ってきた
んだけど...
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
その傷...
碧衣は心を痛めたような顔をした。

人のことを自分のことのように心を痛めるなんて
優しすぎるよ...
保坂 恵麻
保坂 恵麻
あはは..やられちゃった...
私はそう言って笑う。
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
保険室、行こ。
碧衣はそう言って私の腕を引っ張った。




















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保健室。

私は、碧衣に傷の手当てを受けていた。
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
はい。終わった。
保坂 恵麻
保坂 恵麻
ん。ありがと。
私がそう言ってお礼をすると
碧衣は黙って私に抱き付いた。
保坂 恵麻
保坂 恵麻
どうしたの?碧衣。
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
もうちょっとこのまま。
保坂 恵麻
保坂 恵麻
うん。良いよ。
そして、少しして碧衣は私からそっと離れた。
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
何があったか知らない。
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
けど、私が親友だってこと
忘れないで?
鯨野 碧衣
鯨野 碧衣
何でも、言ってね?
碧衣はそう言って微笑んだ。


まだ、傷が痛い。


けど、碧衣の言葉だけで良かった。






















それだけで、“心の傷”が癒えたから。


























保健室から見える夕日。




それは、とても綺麗だった。

























今日だけ、保健室が不思議な空間になった。

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