あーあ。痛いだろうな。
最初は頬に痛みを感じた。
そして、腕、足、手のひら。
いろいろな所が痛い。
私をいじめた理由がそれ、ね...
私がそう言うと、九条は醜い笑顔を浮かべた。
九条はそう言い残して帰っていった。
本当、腐ってるなぁ。
まぁでも、碧衣は私が守る。
私のことを真っ正面から向き合ってくれた
人だから。
大切な人だから。
それにね、梓と立夏がいる。
私たち4人でいれば、無敵なんだから。
おっと、何故か碧衣がいたようだ。
碧衣は心を痛めたような顔をした。
人のことを自分のことのように心を痛めるなんて
優しすぎるよ...
私はそう言って笑う。
碧衣はそう言って私の腕を引っ張った。
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保健室。
私は、碧衣に傷の手当てを受けていた。
私がそう言ってお礼をすると
碧衣は黙って私に抱き付いた。
そして、少しして碧衣は私からそっと離れた。
碧衣はそう言って微笑んだ。
まだ、傷が痛い。
けど、碧衣の言葉だけで良かった。
それだけで、“心の傷”が癒えたから。
保健室から見える夕日。
それは、とても綺麗だった。
今日だけ、保健室が不思議な空間になった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。