学校の2時限目。
立夏が先生に呼び出された。
先生はそう言って、立夏を連れて行ってしまった。
すぐに戻って来るだろう。
そう思っていた。
けど、数分後、戻って来たのは先生だけだった。
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病..院...?
両親が事故...?
それじゃ、まるで...
私の時と一緒...?
私の大切な友達に、両親を失ってほしくない。
私のようになってほしくない。
あの苦しみを、知ってほしくない。
あの悲しみを味あわせたくない。
早く、早く、早く....
行かないと...!
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病院の手術室の前で、私は、そう質問した。
けれど、返事はなかった。
返事がなくても、充分だった。
もう、立夏の顔から伝わってしまう。
嫌と言うほど。
今、彼の両親は、最悪な状態であるということが。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。