ハァ…ハァ…ハァ……
ついさっきまでぼーっとしていた
だけど急に意識がハッキリしたの
そう思った時
体が勝手に動きだした
私は今どこかへ向けて走っています
走っている今
私の頭の中にあるのは
まぎれもなく
“スニョン”
だった
私に恥ずかしそうに
“大切にするよ”
そう言って告白してくれたあの時
私の手を取って
“綺麗だよ”
そう言ってくれた結婚式
私はその時に見たスニョンの
“笑顔”
が大好きだったんだ
“あなた、ずっと一緒にいよう”
恥ずかしそうに十時十分の目を細めて
にっこり笑うあの顔
私はそれに惚れたんだ
昔の新鮮な記憶が蘇り
涙が目に溢れてきた時
私は来るべきところに着いた
そう
ここはBAR
私は指輪を取りに来たのだ
きらきら輝く指輪をはめて
私は
“あなた”のところに帰ろう
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
私は薬指に指輪を輝かせながら
家に戻った
扉を開けて中に入ると
ううっ…つっ……
寝室の方から聞こえるスニョンの泣き声が家に響いていた
私が寝室に入ったら
私のベッドに顔を伏せて泣いている
スニョンがいた
ゆっくりと顔を上げて
背後にいる私に目を向けた
スニョンに指輪を見せながら
にっこり笑ってみせた
私の指輪を目で確認したスニョンは
目でも見えないくらいの速度で
私をきつくきつく抱きしめた
スニョンの涙が私の服ににじむ
私は小刻みに震えてるスニョンを
大きく包み込んだ
スニョンは私に縋るようにして
抱きついていた
スニョンの口から本音がこぼれる度に
私はこんなにも愛されていたのかと
深く痛感した
もう不倫なんかやめよう
そんなのしなくても
私は充分幸せだったんだ…
私はスニョンから体を離すと
唇を近づけた
既読スルーしたままのメールはそのままで
私はスニョンと長いキスをした
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
BAR……
辺りを見渡しながらそう聞くジフン
「本人が持って行かれましたよ」
そう言いながら何本も並ぶグラスからひとつ選んで
丁寧にカクテルを注いでいるマスター
それを聞きたジフンは
今出されたカクテルをグビっと飲み干すと
“バンッ”
大きな音を立てて荒く机に置いた
悔しそうに頭を抱えるジフン
「あの子諦めちゃうんです?」
いつもカウンター席に座ってたから
マスターは大体のことをわかってる
「いいえ、到底思えません」
グラスを拭きながら
苦笑いを浮かべるマスター
ジフンはイライラしてるのか
左手の薬指で机を小刻みに叩いた
「でもどんな手を使うんです?」
スニョンからあなたを引き離す方法
今のジフンの頭に浮かぶのは
一つしかなかった
マスターは拭き終わったグラスを
棚に戻しながらその言葉を聞いていた
「冗談がきついですよ😂😂」
マスターはジフンの冗談に
ハハハ
と声を上げて笑った
口ではそんなことを言ってるくせに
ジフンの顔は笑っていなかった
END…
R18まで持っていけれませんでした←
誠にすいません…
なのででぃのちゃんを今日中に出します
楽しみに待っていてください(´TωT`)
そして結末をコメントしてくださった方ほんとに愛してます😭
読者であるArumさんありがとう🥰
Coming soon ▹▸ Dino
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!