第30話

最終話
616
2021/10/11 09:00


私と蓮兎は階段を上がっていた

















蓮兎は歩く力がなかったから

私が支えていた















2人の足音が響く










_空亜@ソア_
空亜ソア
…この病院、…何階まであんの、
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
…結構、おっきいからねぇ、ここ、…w
_空亜@ソア_
空亜ソア
…てか、飛び降りて死ねんの?
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
……、運、に、任せるしか、ないよねぇ、
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
でも、まぁ、…足からじゃなくて、
頭からいけば、死ねる確率、上がるらしいよ、
_空亜@ソア_
空亜ソア
……へぇ、…





私たちは時々休みながら階段を登った










きぃ…とドアが開く






_空亜@ソア_
空亜ソア
…なんで、あんた、鍵持ってんの
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
…へへ、w




彼は私の質問には答えない























屋上についた










私たちは早速フェンスをまたぐ






下を見ると

そこには大通りが広がっていた



_蓮兎@レント_
蓮兎レント
…らっきー、…
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
轢かれて、しねるじゃーん、




そういう君の口調はいつものようにふわふわとしていて

不思議な雰囲気だった




















_空亜@ソア_
空亜ソア
……れん、と…
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
……空亜、どうしたの?
_空亜@ソア_
空亜ソア
……ほんとに、いいの、?
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
…俺は、今まで自分のやりたいようにしてきた
_蓮兎@レント_
蓮兎レント
だから、いいの



ずっとずっと、死にたかった




だけど私は今、死を目の前にして恐れている






嗚呼、馬鹿馬鹿しい



















母さん、ごめんね、

素直になれない娘でごめんね、

最後の最後まで自分勝手で、

貴方に甘えてばかりでごめんね











心の中で精一杯の謝罪を呟く

















_蓮兎@レント_
蓮兎レント
さっ、夢喜乃のところ、いこっ



蓮兎の顔色は良かった






_空亜@ソア_
空亜ソア
…んっ!そうだね!!




私は人生で初めて明るい声で喋った






















私たちは飛び降りた







2人で手を繋いで飛び降りた










頭から飛び降りた











笑顔で飛び降りた













泣いて飛び降りた


















何故私達は飛び降りたのか




















そう











愛が欲しかったから

友達が欲しかったから

真実が欲しかったから

素直が欲しかったから


永遠が欲しかったから









私たちは死ぬ


















"素直"を求めて






                "真実"を求めて




     "友達"を求めて




            "愛"を求めて





"貴女夢喜乃"を求めて




"永遠"を求めて__。






end.


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