第8話

三ツ谷隆
12,781
2021/07/30 13:45
ぴんぽーん、とチャイムが鳴る。
この時間に来るのは1人しかいない。
あなた
はいは〜い
三ツ谷隆
よー
ガチャッと玄関を開けると、見慣れた顔。
手には何個かタッパーが入った袋を持っている。

タカちゃんとは家が隣同士ということもあり、家族同然の関係なのだが、
私の両親が仕事で家を出ている時間が多いため、いつもこうやっておかずを届けに来てくれる。
料理が壊滅的に苦手な私には、本当に有難い。
あなた
ありがとう!タカちゃん!
とりあえず玄関の中に入ってもらう。
笑顔で袋を受け取り、タッパーの中身の説明をお願いする。

ほとんどレンジで温めれば、すぐに食べられるものばかりだ。
学校も東卍も忙しいはずなのに、欠かさず家に来てくれる。
あなた
いつもごめんね
三ツ谷隆
別に気にしてねぇよ
あなたは妹みたいなもんだからな
あなた
私たち、同い年なんだけど〜
不貞腐れると、ぶっきらぼうに私の頭を撫でる。
でもどこか優しくて、心地が良い。
三ツ谷隆
そうだけどさ。
なんていうか、守ってやらなきゃなってなるんだよ
そう言いながら、私の頬へ手を滑らせる。
びっくりしてタカちゃんの顔を見る。
その表情は大人びていて、少しドキッとした。
あなた
タカちゃん…
三ツ谷隆
…あ、そろそろマナとルナが待ってるから
邪魔したな、とドアノブへと手をかける。
思わず後ろから抱き着く。
抱き着いた事に驚いた様子でこちらを見る。
ちょうど同じ目線になってしまったので、顔が近い。
とくん、とくん、と心臓の音が耳に残る。

タカちゃんの手が私の頭を撫でた。
はっと我に返ってタカちゃんから離れる。
あなた
…また、明日ね
三ツ谷隆
…おう
またな、と言葉を残して家を出る。
1人になった途端、力が入らなくなりその場に崩れ落ちる。
あなた
キス…しちゃいそうだった…
タカちゃんとは、家族みたいな存在だと思っていた。
小さい頃からずっと一緒に過ごしてきたから。
でも日に日に大人に近付いていく姿を見ていると、どうしても意識してしまう。
あなた
これは…やばいかも
そう小さく呟いて、胸の高鳴りが収まるのをただただ待ったのだった。










おまけ 〜一方その頃〜
三ツ谷隆
急に抱き着いてくるのはびっくりした。
思わず素っ気ない態度を取ってしまって反省する。

小さい頃からいつも一緒にいた。
ちょっと抜けてる所があるから、歳が同じでも俺が守ってやらないと思ってた。

でも日に日に大人の女性に近付いていくあなたを見ていると、どうしても意識してしまう。
三ツ谷隆
やばいな…これは
そう小さく呟いて、壁に寄りかかりながら、暗くなり始めた空を見上げたのだった。










後書き。
念願の三ツ谷です👏やっと書けました!

初々しいというか…そんな感じを書きたかったので完成してよかったです😆

三ツ谷は多分、私より考え方が大人びているので、
恋愛に関しては奥手というか、こうなって欲しいなという願望です、はい。


次は誰にしようか決めてないのですが、意見あればお願いします!
ここまで読んで頂きありがとうございます🙇‍♀️

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