月曜日。
いつもより早めに家を出る。
そして誰もまだ来ていない静かな教室に着く。
窓を開ける。
カーテンが風に吹かれてふわりと揺れる。
案外早い時間の教室もいいもんだな、なんて呑気なことを考えながら時間を潰す。
ちらほらクラスメイトいがやってくるが、あなたはなかなか現れない。
ついにチャイムがなった。
担任が入ってくる。
表情が暗い気がする。
なんだか心が騒がしかった。
そして重たい口を開いたのだった。
『あなたの名字が不良に絡まれて暴行を受けた』
『命に別状はないが、しばらくは入院の為学校は休む』
担任は確かにそう言った。
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。
オレはまた失うのか?
オレに関わる人間はいなくなるのか?
気分が悪くなり、保健室へ行く。
それでも気分は悪くなる一方で、気が付いたら学校を飛び出していた。
いまだに担任の言うことが信じられなかったからだ。
でももし本当なら…
頭の片隅に担任の言っていた病室番号が残っている。
病院に着く。
階を上がり、病室へゆっくりと近付き、名前を確認する。
『あなたの名字あなた』
いてもたってもいられず、ノックをする。
すぐに、はいと短い返事が聞こえた。
扉を開けると、そこには顔と腕と足が固定されているあなたがいた。
かろうじて見える瞳が大きく開く。
オレは言葉を失っていた。
想像はしていたが、それを上回る怪我だった。
そんなオレを見兼ねて、あなたは口を開く。
そう言い、小さく微笑む。
なんで笑っていられるんだ。
オレは理解ができなかった。
続けてあなたは話を始める。
…なんて?
あなたがオレを?
話したことなんて、数回しかないのに。
意味がわからなくて、あなたの顔を見る。
だから私だけで解決しようとしたんだよ、と下を向きながらそう言う。
複雑な気持ちだった。
オレは正直、あなたに赤音を重ねているだけで、恋愛感情はなかった。
ひどいヤツだと自分でも思う。
もちろんあの時、あなたを助けてなかったら、同じようなことになっていたはずだ。
オレに振り回されて怪我をしているあなたに、今更合わせる顔がないことに気付いた。
何故かあなたに過去のことを話していた。
でも本当のことを言わないと、自分の中でケジメがつかないと思った。
泣きながら、あなたは言った。
オレは何も言えなかった。
頭を下げて病室を出る。
扉に手をかけたところで、小さくあなたが
そう言ったように聞こえた。
崩れるように床に座り込む。
すうっと涙が溢れるのを感じた。
オレはまた、救えなかった。
後書き。
こんにちは、まろんです🌰
書いてて報われないお話は辛いなと思いました😢
初めて相手視点で書いてみましたがどうでしょうか…
長くなりすぎたのと、最後ちょっとグダグダになっちゃったの反省です💦
デイリーランキング78位になりました!
皆様のおかげです😊
ありがとうございます✨
ここまで読んで頂きありがとうございます!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!