2人っきりの部屋。
今日は圭介の部屋にお邪魔している。
お母さんが遅くまで帰って来ないらしい。
座る位置はいつもより彼に近い。
むしろ寄りかかってるくらいだ。
千冬くんといる時はたくさんお喋りするのに、私と2人の時は口数が少ない。
ちょっと寂しい。
なんて思っていたのは少し前。
多分彼のことだから緊張してしまうのだろう。
何となくそれがわかったから、ゆっくり距離を詰めてくことにした。
同じ学校で、同じクラス。
ダブっていようが関係ない。
だから私たちは会えたんだから。
第一印象は、真面目な格好してるのに、ちょっぴりおバカさん。
でも知っていく内に、仲間思いなところも、喧嘩が強くてかっこいいところも、全部全部大好きになった。
そして、もっともっと彼のことを知りたいと思った。
フラれるの覚悟で告白したら、まさかのOKでびっくりした。
嬉しくて泣きながら抱き着いたら、顔真っ赤にして照れ臭そうにしてたの可愛かったな。
開いている窓からふわりと風が吹く。
彼の長い髪が揺れた。
シャンプーのいい匂いが鼻をくすぐる。
彼が笑うと、口元に見える八重歯が可愛い。
自然と私も笑顔になってしまう。
彼の笑顔には、惹き付ける力があるんじゃないかと思うくらい魅力的だ。
私はその表情を見ながら、ゆっくりと彼に近付く。
そして左耳の辺りの髪に顔を埋めて、思いっきり嗅ぐ。
耳を抑えながら、少し距離を取られる。
顔がちょっと赤くなってて可愛い。
…私さっきから可愛いしか言ってない。
自分でも今気持ち悪い顔してるだろうなと思ったけど、やっぱり気持ち悪い顔してたようだ。
イケナイ、イケナイ。
気を取り直して、圭介に抱き着く。
耳元で驚いた声が聞こえたけど、恋人同士なんだから驚かなくてもいいのに。
ははっと彼が笑うと、耳に息が軽くかかった。
確かにちょっと、くすぐったいかもと思って身をよじる。
それに気付いたのか、髪を耳にかけて、ふぅっと優しく吹きかけられる。
腰を両手でホールドされているから、動けない。
いつの間にか、正面から抱き合うような体勢になっていたようだ。
何度も息を吹きかけてくるから、笑ってしまう。
謝っても許してくれないようで、中々止めてくれない。
すると突然、ピタッと止まった。
終わったかと思って身体を動かすが、腰にまわった手は緩んでいない。
おかしいなと思いながら声をかけようとしたら、耳に違和感を感じた。
彼の息遣いが耳元で聞こえる。
ということは、耳たぶを甘噛みされてる?
展開の早さに頭がついて行かず、言葉がこれ以上出てこない。
少しの間甘噛みされ続け、顔が離れたタイミングで声をかける。
彼の突然の行動に驚きを隠せなかったけど、何だか満足そうに微笑えんでいたので良しとしよう。
今日も圭介は可愛かった。
そういうことにしておこう。
微えろのお話(?)😂
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。