駅前。ある人と待ち合わせ。
人通りの多いこの場所で、見知らぬ男2人に声を掛けられる。
誰だ、この人達。
こういうのは無視が一番だ。
そう言いながら私の肩に手を回してくる。
そして気持ち悪い顔が、ずいっと寄ってきた。
嫌悪感しかない。
早く離れて欲しい。
私は軽く操作をした後、携帯を閉まった。
ごめんなさいと告げると、男達は一瞬顔を見合わせたが、すぐに不敵な笑みを浮かべ続けた。
更に腰を掴まれ、強制的に歩かされる。
めんどくさい事になった。
私の怒りのゲージがぐんぐんと貯まる。
ちょっと発散しないと気が済まなくなったので、ある作戦を実行することにした。
言葉を言い終える前に一発。
みぞおちを狙う。
綺麗に入った。
ドサッと私の横に崩れるように倒れる。
肩を組んでいた男が、驚いて私から少し距離を置く。
状況が掴めていないようで、口をパクパクさせている。
餌欲しがってる鯉みたい。
私は倒れた男の背中に座って、放心状態になっている男を見上げる。
ニコッと笑顔を浮かべて立ち上がる。
男は小さく悲鳴を上げ、後ずさりをするが、すぐ壁に背が付いてしまう。
声がする方を見ると、駅の方から大好きな場地さんが歩いてくる。
私はギリギリ止められなかった右手を壁から退かす。
少し外壁が破損してしまったが、しょうがない。
それを見た男が更に顔を青くして、へっぴり腰になりながら駅とは反対方向に走っていった。
場地さんは私の足元で横になっている男を見る。
知り合い、じゃあねぇよなとボソッと呟く。
私も特に返事はしなかった。
そんな私を見かねてか、手を握り歩き出す。
突然の事で反応が出来なかったが、さっき男が逃げた方向から人が歩いてくる影が見えた。
そう言って私の頭をポンポンと優しく叩く。
そのおかげで、さっきまでの苛立ちが泡のように消えていく。
場地さんパワー恐るべし。
場地さんの笑った顔が好きだ。
いつまでも場地さんに守られてばっかりじゃダメだと思って、それなりに喧嘩もしてきて強くなった。
もし場地さんが困っていたら、私はどんな時でも助けに行く。
改めて私は、この笑顔を守りたいとそう心に強く誓ったのだった。
後書き。
場地さんの八重歯が見える笑顔が大好きです。
5〜8巻見返す度に号泣してます。
幸せになってもらいたいのです…
更新遅くなったうえに、長文ですみません!
ここまで読んで頂きありがとうございます🙇♀️💗
次回は三ツ谷を予定しております!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。