放課後。
部活も終わり、帰り支度を始める。
携帯を開いてみると、新着メールが1件来ている。
ケンからだ。
私は今終わった事を伝えて急いで着替える。
こうやって連絡が来るのは、校門で待っているということ。
支度を終え、彼の元へ向かう。
高身長な上に、このルックス。
怖がる人もチラホラいるが、迷わず声を掛けると、柔らかい笑みを浮かべる。
私はこの笑顔が大好きだ。
ぶっきらぼうに答えているけど、ケンの優しさが滲み出ている。
少し照れくさいのか、目を逸らしながら答える。
ちょっと頬が赤くなってる、可愛いなぁ。
そしてゆっくり歩き出す。
ケンは東京卍會の副総長。
総長はマイキーという、すごく喧嘩が強い子らしい。
昔からケンも喧嘩が強い方だとは思うけど、マイキーは別格らしい。
ケンがお世話になってるなら挨拶したいな、と言うとダメだって不機嫌になったけど、なんでだろう…
東卍の集会がない時は、決まって私の迎えに来てくれるのだけど、大変じゃないかなとは思う。
ケンだって男の子だし、好きな子だって、もしかしたらいるのかもしれない。
私はケンの事が大好きだから、こうやって迎えに来てくれるのも、予定がない休みの日に一緒にお出かけしくれるのも、心から嬉しい。
思わず思ってた事が口から出てしまった。
しかもちょっと不機嫌になっちゃった。
でも気になる。
すると足を止めて、ケンは大きいため息をついた。
そして私をしっかり見つめる。
頭パンクしそうだ。
”好きでもねぇ奴と一緒にいるか?”
それは、つまり…
嬉し過ぎて思わず叫ぶ。
ケンはちょっと意地悪な笑顔を私に向ける。
2人の間にあった距離が、少し踏み出した事で合わさる。
私はその大きな背中に思いっきり抱きついた。
後書き。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
マイキーに続いてドラケンです。
見えないところで、行動で示してくれそうなタイプの子だと思ってますが、言葉足らずのせいで女の子は不安になっちゃいそうだなぁって思いながら書きました。
実際に原作ではエマちゃんを想っている描写もありますが、言葉が足りてない!って思ってました(笑)
だからエマちゃんは不安になっちゃってましたね…
長くなりました!
次回の更新は未定ですが、少しずつ書いてあげられるようにします。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。