第64話

黒川イザナ
4,065
2021/10/17 13:58
あなた
ねぇ
あなた
私を殺して
突然目の前に現れた少女。
そんな少女からの発せられた言葉に動揺する。


私を、殺して?


意味がわからない。

無意味に人を傷付けるのはなんだが気が引ける。
俺は真っ青になっている少女の肩に手を置き、一旦落ち着けと近くの公園のベンチへ座らせた。

とりあえず水を飲ませようと、自動販売機に向かおうとすれば、服の裾を掴まれる。
1人になりたくないようだ。
黒川イザナ
…水、買ってくるだけだから
黒川イザナ
そこに自販機あるだろ?
指をさしながら目線を持っていけば、嘘を言ってないことは察するだろう。
納得してない表情を残しながらも、ゆっくりと手を離してくれた。
それを確認して、水を買いに行く。
戻りながら、正面に座っている少女を観察する。

痩せ細った身体。
潤いがいき渡ってない髪。
青白い肌。
目の下のクマ。

見るからに問題があるのがわかった。
だからと言って、自分より年下の少女を匿うなんて事をすれば、俺は捕まるかもしれない。
残念だが、面倒は見れない。
頭の中では整理が出来ていた。

なのに、

放っておけないのだ。

何もかも失って生きる術を無くした目。
あの目に訴えられた時、助けてやりたいと思ってしまった。
俺らしくないなんて思いながらも、少女を何とかしてあげたい気持ちが無くならない。
黒川イザナ
ほら、とりあえずこれ飲むんだ
ペットボトルの蓋を開けてから渡す。
おずおずとそれを受け取り、口を付ける。
小さな声で、ありがとうございますと呟くのが聞こえた。

隣に腰掛けて、聞きたいことをゆっくりと質問していく。
黒川イザナ
飯、食えてるのか?
首を横に振る。
まぁこれは見た目で判断出来る。
黒川イザナ
…家族は居るのか
この言葉を口にするのは抵抗があったが、今は状況が状況だ。
普通の生活の送っている人であれば、家族は居るだろう。
少女は少し間を空けてから、首を縦に振った。
反応を見るからに、服で隠れているところに何かされている可能性が見えてきた。
黒川イザナ
最後に聞く
黒川イザナ
なんで俺なんだ?
少女の目を見る。
その瞳は、揺らぐことなく俺の目線と絡み合う。
しばらく見つめ合った後、ゆっくりと口を開いた。
あなた
一目惚れ…だから…
黒川イザナ
…は?
あなた
喧嘩…してるの見た時、綺麗だったから
それで俺の所まで来たのか。
わざわざ。
理由を聞いても理解できない気がする。
ただ、嘘を付いている様子もない。
黒川イザナ
オマエの見た目見れば、大体の問題は予想付くけど…そんな簡単に死を選んでいい訳?
あなた
もう…痛いのも苦しいのも嫌だから…
黒川イザナ
ふーん…
あなた
貴方じゃないと…嫌なの…
ポロポロと流れる涙。
生きる術をなくした少女は、静かに声を押し殺して泣いていた。

気持ちは、分からなくもない。

だからほっとけないのだと思う。
黒川イザナ
俺が、お前に生きる理由をやる
黒川イザナ
だから俺と一緒に来い
そんな言葉が返って来るとは思わなかった、という表情で俺の顔を見つめる。
一瞬止まった涙が、また頬を伝っている。

泣き虫だ。
黒川イザナ
…泣くなよ
黒川イザナ
泣くほど嫌かよ
死にたいと口にしていたくらいだ。
少女にとっては生き地獄になってしまうかもしれない。
あなた
ちが…っ、嬉しくて…
あなた
まだ私、生きてていいんだと…思ったら…
汚れた袖で、何度も涙を拭う。
俺はそんな少女を抱きしめた。
黒川イザナ
今日は泣け
黒川イザナ
たくさん泣いたら、次は笑え
黒川イザナ
大丈夫、俺が居る
背中を優しく叩きながら少女を宥める。

少女は眠りについたようで、俺の腕の中で寝息を立てていた。

泣き疲れただけなのか、
寝不足だっただけなのか、
俺の言葉に余程安心したのか、

それはわからないが。

涙の跡を指でなぞりながら、気持ち良さそうに眠る少女を眺める。
とりあえず家に連れて帰って、飯と風呂だ。
そのまま持ち上げて、起きない事を確認する。

やけに空が明るい。
明日はきっといい天気になるに違いない。









お久しぶりです。
更新サボってて申し訳ないです😭
アニメ終わっちゃったし、仕事忙しいしでやる気が起きませんでした…お許しください😫

リクエスト頂いていた、切ないイザナのお話です。切なくなっていたでしょうか😅
ブランクありすぎてイマイチだったらごめんなさい🙇‍♀️

今度こそせめて週一くらいで更新していきたい!
頑張りますので、リクエストお待ちしております😌

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