第2話

彼岸花の咲くころに
1,376
2020/10/03 11:16

――――風が涼しい秋晴れの午後、あなたは家族と先祖代々受け継がれる墓へと足を運んだ。

…いつもなら来ないのだが、今年に限って行く気になった。

―――「竈門家」と書かれた墓の前。

父は蝋燭と線香点け、母はお供え物に菊の花を生けている。

「竈門」の名字は珍しく、あなたは少し気に入っていた。
幼い頃、祖母に曾祖父の話を聞いたことがあるが、今ではうろ覚え。もう一度聞こうとしても、耳が遠い祖母では話にならず、訊ねることさえ断念していた。
あなた
(…確か、鬼がどうとか…ι)
鬼に似た熊だとか狼を退治したのかな…と、あなたは勝手に解釈していた。
―……よし、ついた
こっちも、準備できたわよ。さ、お参りしましょう?
あなた
うん。……ねぇ、何でお供え物がタラの芽なの?ι
ああ、曾祖父さんが大好物だったみたいよ。お母さんがお嫁に来たときに、お祖母ちゃんに教えられたの。
あなた
……変わってるね~ι
昔は、今みたいに食べ物が沢山なかったからな。山菜なんてご馳走だったんだと思うぞ。
あなた
山菜好きだけど…。ご馳走には程遠いような…ι
…さ、話はその辺にして、お参りしましょ。
あなた
うん…
南無南無……(お経を唱える父)
あなた
(――確か、大正時代だっけ…。曾祖父が生きてた時代は…)
あなたは手を合わせ拝みながら、そんなこと考えていた。
―――よし、お参りも済んだし、行くか!
そうね。……また、来ますね。
母は、墓に呟く。
あなた
うん……。
あなた
(――……)

墓を背に帰ろうとしたとき、あなたは妙な違和感を覚える。

全身の毛穴が逆立つような、そわそわした感覚…
あなた
(…風邪でも引いたかな…ι)
ほら、あなた置いていくわよ?
あなた
……あっ、待って!


父と母に置いて行かれそうになり、あなたは慌てて駆け出す


何歩か小走りした所で、石に躓いた
あなた
…わっ……ι
あなた
(転ける!!)

その時、あなたの周りに次元のような空間が開き、一瞬にして辺りが一変する



―――――ドタッ!!
あなた
痛ぁ~ι転けた~ιお母さんキズバn………


あなたは目の前を見て思考が停止した。さっきまで自分が居た場所は墓地。

……今、目の前に見えるのは、近くに山があって、周りが野原になっている。

そして、両親の姿が見えない。

あなた
は………ιどこ…?家の墓は…?ι
後ろを振り向くも、野原が続くだけ。
あなた
え、まっ……待ってιどうなってるの…ι
あなた
まさか神隠し?!……んな訳ないよね…ι
パニックになり、あなたは走り出した
あなた
――はぁ、はぁ、はぁ……ι
あなた
(走って、野原を突っ切れば、知ってる所に出るかも…ι)



――――体力の続く限り走ったが、一向に知ってる風景、先ほど車窓からみた景色は現れない。


体力も限界に来て、辺りは日が傾き、夜が駆け足で迫ってくる。
あなた
え……夜!?さっきまだ14時だったのに…ι

道なき道を歩いていたとき、前方に人影を見つけ、"救いの神!"と近づき、その影に話しかける
あなた
すいません!ここは何処ですか……?
――あ゛ぁん、迷子かぁ?
迷子なら、俺が喰ってやろうか……?
あなた
―――…Σひっ…ι
あなた
(人じゃ…ない…ιどうなってんの、ここ…)
鬼は腹を空かしていたのか、あなた目掛けて素早く駆けつけてくる
あなた
……ぎゃぁぁぁっ!!!
腰を抜かしたあなたは、尻餅をつきその場を動けなかった
あなた
(訳分かんないとこで死ぬの……?!)
もう終わりだと思い、あなたは眼を閉じる
刀を持った少年
――水の呼吸 壱ノ型 水面切り!!
ぐわぁぁ…っ!!
頚を切られた鬼は、その場に倒れ、灰になる

そうとも知らず、あなたは未だに丸くなり、ガタガタ震えている
刀を持った少年
……大丈夫ですか?鬼なら退治したから心配ないですよ。
あなた
――――……えι??
あなたは恐る恐る顔を上げる。

額に傷がある少年があなたを心配そうに見下ろしている。
あなた
だ、誰………?鬼って何……?
竈門炭治郎
俺は竈門炭治郎。鬼殺隊士だ。
あなた
は?きさつ隊って……??
―――バタッ!


あなたは、疲れとパニックから気絶して倒れる。
竈門炭治郎
おいっ、大丈夫か?!ι
あなた
(もう、思考がついていかない……。)



―――あなたは夢を見た。

祖母に曾祖父の話を聞いている自分が居る。


「お前の曾祖父さんはね、悪い鬼を倒す、それはそれは強い人だったんじゃよ」

「―――大好物はタラの芽じゃったな」

「今の平和な世があるのは、曾祖父さんのお陰かもしれん…」
あなた
(…お祖母ちゃん……)




――――to be continued.

――――――――――――――

自分がタイムスリップしたみたいで、書いてて新鮮でした!
でも、もう少し臨場感が欲しいな……ι

臨場感……ありましたか?…ないよね~ι

さてさて、次は皆出てきます!

プリ小説オーディオドラマ