第20話

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2021/02/27 05:42
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天が私を抱き寄せて耳にふっ、と息をかける。








もちろん私は感じちゃうわけで。









「ひゃっ、、、」









「あれぇ、こんなので感じちゃう?」









やめて まゆちゃんが冷たい目でみてる。









「や、その。」









「、、、ほんとに、付き合ってるの?」









なんにも感情が入っていない声で、まゆちゃんは言った。









「ちが、、、ん?!」









否定しようとしたら、天の唇によって塞がれた。









「ん、んー!!!!///」









トントン、と胸板をたたくと、唇を離した。








「これでいい?

 正真正銘、ボクたちは付き合ってるよ。」









天、何言ってるの、、、









私のことさんざんバカにしたくせに、なんでキスなんかするの。









まゆちゃんは目に涙をためて去っていった。









「、、天、どーゆーつもり。」









私が怒った口調で言うと、さっきの笑顔はどこへいったのやら、無表情で答えた。









「あーでもしないと、小川さんまけないよ。」




「っ、だからって!!!

 好きでもない子とキスなんてして、楽しいの?!」









つい頭にきて、強めに言ってしまう。









しまった、と思い、おそるおそる顔をあげると、









少し悲しそうな顔をした天が私を見下ろしていた。









いつもの意地悪な顔はどこにもなくて









ピンクの綺麗な瞳には、私しかうつってなかった。









「、、、ボクが好きって言ったら?」









「そ、そんなわけ」









「、、、、好きだよ。」










その言葉と同時に、再び唇が重なった。







ーーーーーーーーーー









「、、、天とキス、しちゃった。」









演技じゃなくて、リアルで。








唇には、まだ感触が残っていた。









あのあと、ふらふらと2人で現場に戻り、無言で帰ってきたけど。









、、、よくよく考えたらやばくね?









「どうしよ、、、」









え、てかなんで天がキスしてきたの。





え、もしかして、私のこと本気で好きなの、、、、?









ふとんにくるまってると、ケータイがなった。









開くと、悩みの種をまいた天からだった。









通話ボタンをおして、耳にケータイをあてる。









「、、、なに。」









『その、さっきはごめん。』









電話の向こうの天は、呟くように謝った。







「ほんとだよ。

 なんで2回もしたの。

 遊びならほんとにやめて」






『、、、好きだから。』









、、、、は?









「え、まじで言ってんの。」









『本気じゃなかったら2回もキスなんてしないよ。』









「、、、ずっと、嫌われてるのかと思った。」









会うたんびにバカバカいってくるし、足ふんでくるし、イタズラするし。









あの嫌味たっぷりの笑顔なんて、もう見慣れた。









『、、、ボクだって、嫌われてると思ってるし。』









「ふっ、意味わかんない。」






『、、、今、笑う要素あった?』









「ごめんごめん。

 、、、でもさ、私たち芸能人だよ。



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