第29話

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2021/03/08 14:00
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知らない俳優さんと私の熱愛報道がでてから数時間。



私は家に閉じこもっていた。




まゆちゃんと別れたあとにその報道が出たが、身に覚えがない。








そもそも、あの俳優知らないし。









体育座りをして、顔を腕の中にうずめた。








すると、ケータイの着信音が響いた。






「だれ、、、」






画面には『天』と、愛しい人の名前がうつしだされていた。









「っ、もしもし。」









「今、どこ。」









「家だけど、、、」









「ちょうどよかった。今あなたの家の前にいるんだ。」








その天の言葉を聞き、すぐさま玄関にいく。






丸い穴をのぞくと、確かにマスクをした天が立っていた。






「っ、天、」






ドアを開けて、中にいれると天のぬくもりに包まれる。









「あのね、あれ私じゃない。

 私あの人知らない、、!!

 信じて、、、!!」







「何言ってるの。

 そんくらいわかってるし、ボクがあなたのこと信じないとでも思ってた?」






天は優しく私の頭を撫でると、









「もう大丈夫。


 あなたのことは、ボクが絶対に守るから。」









と、つぶやいた。





私はするり、と腕からぬけて、天の顔をみて言った。



「じゃあ、私が天を守る!!」









「は、」









「天が私のことを守ってくれるなら、誰が天を守ってくれるのかなって、思って。

 だったら、私が守る!

 二人で守りあっていこ。」






ぎゅ、と手を握って言うと、天は優しく微笑んで、







「あなたらしい。

 ありがと。」






と言って、優しくキスをした。






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翌日

事務所に行って誤解をといてきた。


事務所のほうも本気にしてなかったらしい。



椅子に座ってお茶をのんでいると、まゆちゃんが歩いてるのが見えた。



「あ、まゆちゃん、、、。」







「っ、あなたちゃ、ん。




 ごめんなさい!!」







まゆちゃんは私の顔を見た瞬間、頭を思いっきり下げた。






「あの報道、私が仕組んだの。

 あなたちゃんに九条くんをとられたのが悔しくて。

 でも、九条くんはあれがあなたちゃんじゃないって、すぐに気づいてた。

 私にね、言ったの。


 あなたちゃんが好きなのは自分だけだって。
 
 その一言で、私じゃないんだ、勝ち目はないんだって、はっきりわかったの。

 本当に、ごめんなさい。」








まゆちゃんの手はプルプルと震えていて、目には涙がたまり、今にでもこぼれ落ちそうだった。






「もう、いいよ。まゆちゃん顔あげて。」








私がそう言うと、まゆちゃんはおずおずと顔をあげた。





「もう、気にしてないから。

 天も、信じてくれたし、そう言ってたの知れてすごく嬉しい。


 前みたいに仲良くしよう?

 友達、でしょ?」

 




私が笑って言うと、まゆちゃんは泣きながら頷いてくれた。





「あ、りがとう、、、」








まゆちゃんとまた仲良くなれる気がする。




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