第26話

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2018/11/25 05:36


あれから緋山先生は全然戻ってこなくて
ぼーっとしていたら時間はかなり過ぎていた



今は、ICUのスタッフステーションにいる
もちろんスタッフは私だけだ、


この朝の静かさが嫌いではない。

ナース
先生、橋爪ゆうとくん
1時間前くらいから
体動多くなってます。
あなた

ハッ!!

ありがとうございます!
すぐ行きます!

藍沢先生に電話しよう、

まだ病院にいるだろうか
家に帰ってたら迷惑…だよね


でも、、誰か呼ばないと!




藍沢先生に気づかれてから電話するのは
初めて、、
なんだか緊張してくる。

藍沢
藍沢
はい、藍沢です
あなた

あ、えーっと

橋爪ゆうとくん
体動出てきてるそうです!

藍沢
藍沢
わかった、すぐ行く
あなた

ゆうとくん!聞こえるかなー?



痛み刺激を入れてみる


そこに藍沢先生が走ってくる
藍沢
藍沢
セデーション切って
あなた

はい!

藍沢
藍沢
ゆうとくん聞こえるかー?ゆうとくん



ゆうとくんがかすかに目を開ける
藍沢
藍沢
ゆうとくん!

声が聞こえたら手を
握ってみてくれるか?



弱々しくも、藍沢先生の手を握り返す




よかった…助かった











藍沢side


ゆうとくん、意識が戻ってよかった。


久しぶりに救命で命を救った。

7年前の感覚が、感情が戻ったような
気がした。



今は、脳外の方が刺激が大きい。




でも、
救命では俺を必要としてくれている。
どうしたらいい…



あなたがまだあそこにいた事には
驚いたが、

あいつの事だ、カルテをみて
分からないことがあって調べものでも
していたんだろう
白石
白石
よかったね、ゆうとくんの意識戻って
藍沢
藍沢
なんだ結局徹夜か
白石
白石
出動記録つけてたら、
帰りそびれちゃって

はい。
藍沢
藍沢
さんきゅ
白石
白石
どうかした?
藍沢
藍沢
いや
白石
白石
今日はありがと、助かった
藍沢
藍沢
いや、脳外科医の仕事をしただけだ
白石
白石
そうね

でも藍沢先生のおかげて目が覚めた
私が、指揮官になれって


昔は、現場ではいつも
黒田先生や橘先生がいてくれて
私はその指示に従っていればよかった

でも今は、私がその役割を
果たさなければいけないのよね
藍沢
藍沢
フッ 悪い癖だな
そう抱え込むな

お前はいつも自分のことは後回しで、
救命のことを考えている。
24時間、それはみんな知っている。


1人でやろうとするな、
もっと周りの人間をこき使えばいい。
お前が決めたことならみんな聞くさ
白石
白石
こき使うってそんな…笑
藍沢
藍沢
9年か
白石
白石
ここに来て?
もうそんなに経つんだねー
藍沢
藍沢
9年たって、お前はこの救命の
良心になった

お前ならどうする

俺は、救命では覚えるべきことは
ひと通り覚えた
今脳外の方が刺激が多くておもしろい
白石
白石
うん、わかるよ
藍沢
藍沢
……
それだけでいいのか
白石
白石
どっちでもいいと思う。
脳外科でも救命でも

藍沢先生がメスを握ってさえ
いてくれれば


だってどこにいたって
あなたは絶対に、命から逃げない


そうか、俺は…
白石
白石
あなたちゃんのこともありがとう

彼女には期待してる。
技術も知識もまだまだだし、
現場でケガするし

でも、命を助けたいっていう気持ちは
フェローの誰よりも持ってる
藍沢
藍沢
あいつも白石と同じだ
人のことしか頭になく、
自分のことは何も思わず犠牲にする


よく見てやってくれ
あいつは無茶ばっかりする
白石
白石
藍沢先生、あなたのこと
ほんと大事にしてるよね…



ヘリポートを去った



最後の白石の言葉は
聞かなかったことにする

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