驚いてる芳くんの周りにいる女の子たちが
睨みつけてくる。
それを聞いたガラの悪い男の子たちが
にやにやしながら、私の肩を抱いてきた。
透が私に近づこうとするも、
女の子たちに囲まれて身動きがとれずにいる。
たぶん、力任せに振り払えば、
彼女たちが怪我をすると思ったんだろう。
男の子に顎を掴まれて、ぞわっと鳥肌が立つ。
その瞬間、腰に腕が回って、
私に触れていた男の子の手の感触が消えた。
怒鳴り声とともに、
私は芳くんに抱き寄せられる。
興が冷めたのか、男の子たちが去っていくと、
芳くんは私からぱっと手を離した。
素っ気なくそう言い放って、
芳くんはいなくなろうとした。
けれども私は、芳くんの手を掴んで引き止める。
関係ないと言いながら、
私が掴んでいる芳くんの手は震えている。
芳くんはようやくふっと息を吐いて、
ぎこちなく笑った。
そう言って去っていく透の背中に
私が「ありがとう」と声をかけると、
軽く手を挙げて応えてくれた。
その場に残された私たちは、
向き合うようにして立つ。
私の頭を軽く撫でて、
芳くんは手を繋ぎ直してくる。
ひとりじゃないよ……。
そんな思いを込めて手を握り返せば、
芳くんは小さく微笑んだ。