放課後になっても、修斗くんは私のクラスに顔を出さなかった。
いつもなら、部活に行く前に、必ず声をかけに来てくれるのに。
ギリギリまでねばったけれど、時計を見たらすっかり部活の始まる時間。
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意味深な言葉を残して、真白がいなくなり、私は重たい腰を上げて図書室へ。
そんな気合を入れて、ペンを握ったのはいいものの……。
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まぶたを開く。
頭がボーッとする。
窓の外が、ずいぶん暗くなってしまった。
慌てて時計を見ると、バスケ部の練習は終わっている時間だった。
プリントは最後まで記入してはいるものの、最後に近づくにつれて、ミミズが這ったような線が残っている。
帰宅したら即書き直しを決めて、机の上を片付ける。
そう思って、慌てて帰り支度をしていると、こちらに向かってくる靴音が廊下から聞こえてきた。
ひとりごとに心の中で回答しつつ、完全に起きるタイミングを逃してしまった。
視界がない分、他の感覚に神経が集中する。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。