俺の名前は小峠華太。
凍てつくような殺気を放つ和中の兄貴を見送る、武闘派の極道だ。
激化の一途を辿る、関西系天王寺組との羽王戦争。
先日香月の兄貴がキャバクラ「Coo」の支部に偵察に入ったが、そんな兄貴からあることを聞いた。
香月の兄貴はその日のことを思い出すように言う。
「香月の兄貴も気をつけてください」
そう言おうとした時、兄貴が俺の発言を止める。
きっと兄貴が言いたいのは...あなたの名字が手を出してこなかったということだろう。
目立った外傷は何も見えない。
城戸派No.3、あなたの名字...
本当に何を考えているのか分からない。
この間言われた「戦争を終わらせてくれ」...
利用してもいい、と言っていたが...なぜそこまで人を殺さないのか、戦争が嫌いなのか。
まだまだ謎は深い...だが戦争を早く終わらせたいという気持ちは、きっとみんな一緒だ。
そうして俺は香月の兄貴が去っていくのを確認した後、外へ行き一服していた。
あなたの名字あなた...アイツは一体、なんなんだ。
本当にNo.3なのか...?確かにこの間のカチコミの時、実力は知った。だが、俺には正直......
...いや、あなたの名字のことを考えるのは一旦やめだ。
今は自分の仕事をしっかりやるべきだな...
俺はタバコの火を消し、事務所の椅子へ戻った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。