また苅込が出ていき数時間後。
俺の耳に元宮組の組長が殺されたと連絡が入った
これは天王寺組と天羽組だけの戦争やろ...なんで他の組まで巻き込むんや。
まずいな...どんどん犠牲者が出てる。俺も動き出さないと...。
もうこれ以上無関係の組の犠牲者は出させん。
俺はなんの考えもなく外へ出た。
俺が外を歩いていると、舐めきった目をしたチンピラ共が絡んできた。
こんなことしてる場合やないのに...
俺はチンピラ共を置いて少し早足で歩き出した。
結局歩き回っとっただけで、会ったのは半グレだけやったな...無駄足やったか。
村雨町の支部へ戻ろうとした時、遠くに見覚えのある人影がいた。
苅込の前にいるのは確か...天羽組の和中!!
まずい、早く助けに...!
___苅込...右腕、ない。
そういうと和中は、苅込の肩から刀を振り下ろした。
俺は全力で走り出した。
敵が近くにいようと関係ない。殺されても構わない。まだ助かる見込みは...
まだ喋れる...大丈夫、苅込は助かる。大丈夫、大丈夫、大丈夫だ...
刹那、苅込から力が抜けた。
死ん、だ?苅込が?
兄貴であるはずの俺が、助けられる距離にいたのに。
俺は躊躇ったんや。苅込の腕がないのを見て、一瞬戸惑ってしまった。
...不甲斐ない兄貴で、頼りない兄貴ですまん...。
泣かないって決めてたのに。
目の前で舎弟が殺されたという事実は、思っていたものよりもとても重かった。
結局、俺が復讐を我慢しても人は殺される...
無意味やんか。こんなの
なんか__疲れたわ。
いつの間にか和中はいなくなっていた。
どうせなら殺してくれれば、と思った自分に嫌気がさす。
そうや...戦争を止める。死んだ舎弟の分も含めて、絶対にこの目標を達成しなあかん。
俺は涙を拭うため目を擦った。
苅込...
苅込のズレたサングラスを戻し、俺は支部へ戻った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。