キ ケ ン な 味 と 香 り / ep. 34
ふと、目をあける。
夜中に起きてしまうなんて、
とても珍しいと時計をみやると、
もう朝の5時だった。
首元には蓮のの腕があって、
いまだ裸にエプロン姿の自分に
栞は真っ赤になった。
... れ、蓮は裸じゃないのよ、もう!!
あのまま、寝てしまったのだっけ … ?
あまり覚えていない、
気を失うことがあるからびびるよな、
と言われたことがあるが、
それだったのだろうか … ?
部屋の暖房がきつくかけられていて、
喉のあまり強くない蓮の事が気にかかる。
くうくうと寝息を立てている蓮、
珍しくずいぶんと深く眠っているようだ。
栞がそっとベッドから立ち上がり、
すてんと転ぶ。
(いった!!)
思わず声が出そうになるも、
ソレを何とか飲み込む。
明後日からは蓮は修学旅行、
蓮を思いやっての事なのだが
腰から下の、力が入らない …
も、もしかして、
私が気を失ってからもう一回 …
なんて … ま、まさかね。
足腰がたたないので、
なんとか這ってリビングまでたどり着き
エアコンを切って、蓮の寝巻きを調達する。
自身の格好もこれではねと、
栞は真っ赤になりパジャマを着込んだ — 。
next. __________
✒︎ chloé
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。