キ ケ ン な 味 と 香 り / ep.09
‘えー … んじゃミーティング始めるぞー。来栖、悪いけどボールペン持ってきてくれ。
監督が明日の練習試合のメンバー票を
取り出す。
静まり返った部室で、ブーーーンと、
低い機械音が鳴り響いた。
s “きゃあ!!
栞が大声をあげて、その場に座り込む 。
’ど、どーした来栖!?
皆が駆け寄ろうとする前に、
蓮が栞に手を伸ばす。
r ‘大丈夫 ... ? ... 来栖?
s “だ … いじょうぶ … です。
ぽけっとに突っ込んだままの片手には、
おそらく先ほどのリモコンが
にぎられているのだろう。
リモコンで動きを操作できる
大人の玩具といわれるそれを
手にしてしまった蓮、
餌食になるのは可哀想な栞だったのだが。
r ‘しっかりしろよー?明日は試合なんだから
冷たく言い放ちながら栞をひっぱり上げる蓮に
‘ 蓮ももっと優しく言ってやれって … 来栖、大丈夫か?なんなら家に帰っても … 。
他の部員が心配そうな顔をする。
s “い、いえ大丈夫です!すみません、監督 ... ボールペンです。
next. __________
✒︎ chloé
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。