キ ケ ン な 味 と 香 り / ep. 36
「 カシャ 」
…何の音だ? えーとなんだっけこれは
シャッター音。
携帯のカメラのシャッター音だなぁ…
夢現のまま、蓮は薄目を開けた
行ってきます ¿ - MY PICTURE-
r ‘あ。
開きかけた紺碧の瞳は、
頬を染めた彼女の初々しい姿を
やんわりと捕らえる。
r ‘ ... 栞?… ごめん、俺寝てた?
ソファに腰掛けた状態で
ウトウトしていた蓮が、
うーんと両手を頭上に上げる
s “ご、ごめん起こしちゃったね!明日から修学旅行で早く寝なきゃなのに …
焦りながら栞は、
手にしていた携帯を背後に隠すが
いくら寝起きとはいえ目敏い蓮の目を
誤魔化すことなど出来るはずもなかった
r ‘何だよ? あ…なんか撮った?
s “と、撮ってない!
ブンブンと頭を大げさに降る
嘘をつけない栞に苦笑しつつ
蓮は栞の腰に手を回しそれを取り上げた。
s “あ、だめ!
かって知ったる栞のスマホのデータを見ると、
案の定安心しきった顔で寝ている自分の姿。
r ‘ … 消すぞー
見慣れていない寝姿が妙に恥ずかしい
蓮が少し頬を染め写真の削除ボタンを
押そうとすると
s “ ダメえ~!!
思いの外大きな声で、携帯を奪い返す栞。
目を見開く蓮に、
栞は目を潤ませその瞳を上目遣いにした
s “ だって
r ‘ え?
s “ 蓮明日から修学旅行で … 4日は会えないでしょ …
不安げなを隣に座らせて、肩を抱く
r ‘ たったの4日だけだろ … ?
s “ でも明日はいないもん!だから…
r ‘ … だから?
s “ だから … 写真で我慢しようと … て!もー何でもいいでしょ!返して!
言ってしまってから
急に恥ずかしくなったのか、
栞が両手を振り回して暴れた。
r ‘ 栞 …
s “ な、なによっ。どーせ少女趣味とか思ってるんでしょ!
r ‘ んな可愛いこと言うなよ … まじで行きたくなくなる …
肩を抱いた手に力を入れて
蓮は栞をそのままギュッと抱きしめ
そして思い出したように
自分のスマホを取り出す。
r ‘ んじゃ俺も。
ニカリと笑い、
栞に向けて軽快な音を立てシャッターを切る
s “ ちょっとぉ
r ‘ 笑ってー。
s “ … ばか
少し照れたようにはにかむ栞に蓮の顔も綻ぶ
r ‘ あの顔して、ほら、上目遣いのさ
s “ なによそれ … そんな顔してないよ
r ‘ ぷ。それそれ
蓮の指が、シャッターを切る
可愛いなと感じるままに
数枚の写真を撮ると満足げに頷いて
r ‘ よし、んじゃー全身行くか。エプロン取ってみ
ソファに腰かける栞が、
エプロンを外しながら笑う。
r ‘ 足組んで。
s “ こう?
超のつくミニスカートから、
白く細い太ももがあらわになると
蓮の何かが目覚めてしまう
r ‘ 今度は足、ちょっと開いてみよっか
s “ え、こう?
r ‘ 違う。両手は後ろについてーこう
s “ ちょ!や、やだ!
膝を立てられて、
その状態で少し足を開かされる
r ‘ いーね
下着の色を確認する蓮の瞳には
情欲の色が光っていた — 。
next. __________
✒︎ chloé
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!