第47話

ずっと
456
2020/03/22 16:17
‥‥‥‥と、言うことで。
蓮水 美琴
蓮水 美琴
ゆーえんちーだぁぁぁ!!
蓮水 美琴
蓮水 美琴
最初はどこ行く!?ジェットコースター?それともメリーゴーランド?それとも‥‥‥‥いでっ
神代 佐久
神代 佐久
落ち着いて
蓮水 美琴
蓮水 美琴
だから口で言え!口で!
はしゃいでいた蓮水さんに、神代くんの軽いチョップがきた。
巳陸 早良
巳陸 早良
うわぁー!楽しみっすね!
檜垣 悠真
檜垣 悠真
何でいるんだよ
巳陸 早良
巳陸 早良
え?ひどーない?
檜垣 悠真
檜垣 悠真
‥‥‥
木野 遥
木野 遥
あはは‥‥‥
あれから、蓮水さんの提案で遊園地に行くことになった。
私は‥‥‥うん。そういう流れだったから断れなかったんですよ。

それに何故か、巳陸くん?も来てるし地味に檜垣くんと仲良いし‥‥‥もう考えるのは面倒臭い。
蓮水 美琴
蓮水 美琴
じゃあ、まず始めにジェットコースターへレッツゴー!
蓮水さんは遊園地の地図を手に、歩き出す。
他の皆も蓮水さんに付いて行った。

けれど、何故か神代くんだけ私の隣にいた。
神代 佐久
神代 佐久
‥‥‥許してやって
咲原 愛
咲原 愛
え‥‥‥?
神代 佐久
神代 佐久
あいつ、咲原さん元気ないからって元気付けようとしてるというか何というか‥‥‥
神代 佐久
神代 佐久
結構、鋭いんだよ
神代くんは、とても幸せそうに笑う。

その時、私は確信した。
咲原 愛
咲原 愛
蓮水さんのこと、好きなんですね
すると、神代くんは私の目を逸らした。
‥‥‥けれど、耳は真っ赤。図星だ。
咲原 愛
咲原 愛
というか、私、元気がないように見えますか?
神代 佐久
神代 佐久
ん?いや、俺は全然。普通だと思う
神代 佐久
神代 佐久
けど、美琴が「咲原さん、何かを失った顔してる」って言ってたから
何かを失った顔・・・・・・・‥‥‥?
神代 佐久
神代 佐久
だから、咲原さんを元気付けるぞって頑張ってるんだ。今日だけでも付き合ってやって
神代くんはまた、優しく、幸せそうに、柔らかく微笑んだ。
蓮水 美琴
蓮水 美琴
佐久ー?何?咲原さん口説いてるの?駄目だよ、私が許さない!
神代 佐久
神代 佐久
何言ってんのお前
蓮水 美琴
蓮水 美琴
ん?ジョークだよ、ジョーク
蓮水 美琴
蓮水 美琴
とりあえず早く来て!
蓮水 美琴
蓮水 美琴
ほら、咲原さんも!
蓮水さんは笑って、私に手を伸ばす。





















何かを失った顔。


何か‥‥‥‥それはきっと、萩句のことだろう。


萩句が消えた日、泣きたいのに泣けなくて、ただ萩句の名前ばかり呼んでいた。
「萩句、萩句‥‥」って。




まだ、話したいことがたくさんあった。
まだ、一緒にやりたいことがたくさんあった。
まだ、まだ‥‥‥

最期の言葉の返事をしてない。


まだ、言えてないんだ。




















『 × × × 』


って。









蓮水 美琴
蓮水 美琴
うわぁぁぁ!!ジェットコースターで酔ったぁぁぁ!
ジェットコースターを乗り終えて、男子組は飲み物を買いに行った。
咲原 愛
咲原 愛
苦手だったんですか?
蓮水 美琴
蓮水 美琴
あー!敬語無しで!堅苦しい!
蓮水さんはにこっと笑う。
咲原 愛
咲原 愛
う、うん‥‥‥
蓮水 美琴
蓮水 美琴
ジェットコースターはねー、苦手だよー、ちょーこわーい
蓮水さんはひゃっひゃと笑った。
‥‥‥じゃあ、何故ジェットコースターにしたのだろうか。
蓮水 美琴
蓮水 美琴
なんか、愛ちゃんジェットコースター好きそうだったからさ!
私が、好きそうだったから‥‥‥?
確か蓮水さんが遊園地に皆を誘った理由って‥‥‥
咲原 愛
咲原 愛
私、何かを失った顔してる?
すると、蓮水さんはさっきまでの笑顔を崩し、ほろ苦く笑った。
蓮水 美琴
蓮水 美琴
佐久の奴、バラしたな‥‥‥
蓮水 美琴
蓮水 美琴
うん。してる。“大切な”何かを失った顔
そうか。そんな顔をしていたのか‥‥‥‥
蓮水 美琴
蓮水 美琴
咲原 愛
咲原 愛
蓮水 美琴
蓮水 美琴
あのさ、遥くんから伝言預かってるんだけど良い?
遥から‥‥‥?
咲原 愛
咲原 愛
う、うん
蓮水 美琴
蓮水 美琴
「萩句、愛といると幸せそうだったよ」だって
蓮水 美琴
蓮水 美琴
なんか、愛ちゃんがずっと虚ろだから言いにくくて‥‥‥みたいなこと言ってた
萩句が、幸せ‥‥‥?
蓮水 美琴
蓮水 美琴
うん、それだけ。何も聞かないから安心して
蓮水さんは優しく微笑んだ。
今日出会ったばかりの私に、何故ここまでするのだろう。

でも、この人は信頼できる。そう思った。
咲原 愛
咲原 愛
‥‥‥もし、
蓮水 美琴
蓮水 美琴
ん‥‥‥?
咲原 愛
咲原 愛
もし、私に凄く大切な人がいてその人が消えたとしたら‥‥‥
咲原 愛
咲原 愛
最期に、愛を伝えられたら‥‥‥
咲原 愛
咲原 愛
だけど、返事をする前に会えなくなったら‥‥‥
咲原 愛
咲原 愛
蓮水さんはどう思う?






















『 好きだ 』









あの時、萩句は確かにそう告げた。

凄く優しい顔で。








最期に「好きだ」なんて、ずるいよ。萩句。

もっと別かれるのが悲しくなる。



それに、「私も」って返事ができなかった。





















だから知りたかった。蓮水さんならそれをどう思うか。

私と違って優しくて、楽しくて、真っ直ぐで。
そんな人の意見は、もしかしたら今の私を変えるかもしれない。

そう、思ったから。


だから知りたかった。蓮水さんの気持ちを。









蓮水 美琴
蓮水 美琴
うーん、そうだねぇ‥‥‥
蓮水 美琴
蓮水 美琴
私は‥‥‥
蓮水 美琴
蓮水 美琴
私は泣くよ
蓮水 美琴
蓮水 美琴
泣けなくても、無理矢理泣く
蓮水 美琴
蓮水 美琴
それで一瞬だけ悲しいことを全部忘れちゃうんだ
蓮水 美琴
蓮水 美琴
そして泣きやんだら、寝る
蓮水 美琴
蓮水 美琴
その人とのひとつひとつの想い出に思いを寄せながら
蓮水 美琴
蓮水 美琴
そしたら朝が来る
蓮水 美琴
蓮水 美琴
そこからはいつもと違う、大切な人がいないけど、その人の思いを心の隅に置いて普通の生活を送る
蓮水 美琴
蓮水 美琴
‥‥‥まぁ、うん。あれだ
蓮水 美琴
蓮水 美琴
とりあえず泣いちゃうんだよ。ね?愛ちゃん
蓮水さんはいたずらっぽく笑って、私の頬をつねった。
蓮水 美琴
蓮水 美琴
ここ、人通り少ないから。もし人が来ても隠すから。とりあえず泣いちゃえ!
‥‥‥‥泣く。


そして、思いを寄せながら寝る。

そしたら朝が来る。

そこからは萩句のいない、でも萩句が心の隅にいる、普通の生活。






────────とりあえず、泣くんだ。






















「萩句、愛といると幸せそうだったよ」


萩句、幸せだったんだ。






「好きだ」


うん、私も大好き。























今日は帰って寝よう。

星の数ほどある萩句との想い出を思い出しながら。








そして朝が来たら、いつもと違う普通の生活を送ろう。

萩句のことを心の隅に置いて。



















そうしたらきっと、私が今泣いている意味ができる。


そうしたらきっと、胸を張って人生を送れる。



そうしたらきっと‥‥‥


























萩句も笑ってくれる。


















私の好きな、あの笑い方で。

私の好きな、あの声で。





























ねぇ、萩句。
































































































ずっと、ずっと、ありがとう───────。






-完結-

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