第7話

火の札
634
2018/12/16 07:39
咲原 愛
咲原 愛
...
牢獄に入れられて、何時間がたっただろう。

遥は今、何をしているだろうか。

萩句は、怒っているだろうか。

私、どうなるんだろう...


















咲原 愛
咲原 愛
ううん。駄目だ。弱気になっちゃ。



















気合いを入れるために、頬を「バシッ」と叩く。





















何の為にかは、分からないけど。



















木野 遥
木野 遥
愛っ!!





















遥...?
召し使い
は、遥様!いけません!
木野 遥
木野 遥
と、通して...!
召し使い
いけません!領主様の命令です!




















ははっ。




















命令..か...。




















木野 遥
木野 遥
命令なんかどうでもいい!!
え.....?
木野 遥
木野 遥
僕の友達を、愛を返して!!
召し使い
遥様が初めて命令をお破りに...
木野 遥
木野 遥
愛をこの牢獄から出して!!
召し使い
...
召し使い
遥様のお気持ち、この私が
受け取りました。
召し使い
遥様も、成長なさいましたね。
召し使いはそう言って、微笑みながら
遥に鍵を渡した。
木野 遥
木野 遥
ありがとう...。




















召し使いは相当、勇気がいったはず。

自分の主の命令を破るのだから。

遥も、初めて命令を破った。

皆、私の為に。





















久しぶりに、泣きそうになった。

怖いからじゃない。

嬉しかったから。

自分を助けようとしてくれる人が
とても久しぶりだったから。

















「ありがとう」の気持ちでいっぱいになった。


















領主
何をしているのだね。
木野 遥
木野 遥
召し使い
り、領主様っ!!
領主
おっと、私の命令を破った
輩がいるではないか。
領主
即刻、排除せねば。
咲原 愛
咲原 愛
そ、そんな...!
私のせいで皆が...!
領主
ここでチリにしてくれる。
領主はそう言って、取り出した札から火を出す。

そして、遥の腕に当てた。

火は、遥の腕で「ジュワァ」という音を出して
遥の腕を燃やし始めた。
木野 遥
木野 遥
っ...!
咲原 愛
咲原 愛
遥!!
遥は、腕が焼かれているというのに
その手を払わなかった。
咲原 愛
咲原 愛
遥...?
木野 遥
木野 遥
逃げない...
咲原 愛
咲原 愛
木野 遥
木野 遥
僕は、逃げない!
木野 遥
木野 遥
愛を助けるまで逃げない!!




















どうして?



















自分の腕が焼かれているのに、何で私なんかを...




















咲原 愛
咲原 愛
何で⁉腕、焼かれてるんだよ⁉
咲原 愛
咲原 愛
どうして...
私がそう言うと、遥は微笑んだ。

まるで、
「大丈夫。」
と言っているかのように。
咲原 愛
咲原 愛
逃げて!逃げてよ!!
咲原 愛
咲原 愛
お願いだから...
領主
うるさい。耳障りだ。
咲原 愛
咲原 愛
.....え?
領主は、私の腕を無理矢理掴んで引っ張り、
遥に当てていた札を私の顔に当てようとした。

目の前に火がくる。
木野 遥
木野 遥
愛っ!!
召し使い
お辞めください!領主様!!

















手足が震える。

















きっと、これは恐怖心。


















怖い。怖い。怖い...


















誰か...



















助けて...


















領主
焼かれてしまえ。

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