第25話

折り鶴
438
2019/03/26 06:19
司泉
あーいっ!
お兄ちゃんが私に寄りかかる。
咲原 愛
咲原 愛
お兄ちゃん、邪魔。重い。
司泉
ツンデレは嬉しいけど、それは傷付く。
咲原 愛
咲原 愛
デレは無い。
司泉
酷っ
木野 遥
木野 遥
あ、あはは...
卒業、おめでとー!!
咲原 愛
咲原 愛
ありがとー!
司泉
俺と柊の対応の差...
仕方あるまい。
司泉
件も何気に酷いな。
今日は、中学卒業の日。

萩句たちがいなくなって一年が経った。
夜曇
ん?愛、深刻な顔してどうした?
咲原 愛
咲原 愛
え、そんな顔してた...?
夜曇
ああ。
萩句たちがいなくなってから数日間は社にこもってしまうほどだったけど、遥たちやお兄ちゃんが社から時間をかけて引き出してくれた。

でもやっぱり、ショックだったのは変わらない。
咲原 愛
咲原 愛
え...
突然、遥が私の頭を優しく撫でてきた。
木野 遥
木野 遥
大丈夫。
遥は笑った。


私が不安なとき、遥はいつもこうしてくれる。


その度、私は安心できる。

「いつか、皆は帰ってくる」って。


普段は背が高いだけで頼りない遥だけど、私が弱ると絶対に頼もしくなる。

それって、ずるいよね。
咲原 愛
咲原 愛
...うん。
自然と、口元が緩んだ。
ラブラブだねぇ。
そうか?
夜曇
どう見ても良い雰囲気ですよ。
司泉
ああ。遥にだったら妹をくれてやっても良い気がする。
木野 遥
木野 遥
え?何の話?
咲原 愛
咲原 愛
遥は知らなくて良いと思うよ。
木野 遥
木野 遥
え?あ、うん...?
いつも通りの遥だ。
司泉
それより!
司泉
早く社に行こうぜ!
咲原 愛
咲原 愛
え?何....
司泉
は、や、く!!
咲原 愛
咲原 愛
はいはい。
全く...どちらが年下なのか分からぬ。
木野 遥
木野 遥
あはは...




















社の周りには、桜が沢山咲いていた。


そして...
咲原 愛
咲原 愛
何これ...
桜の木の下には、美味しそうなご馳走や酒があり、赤い大きな布が敷かれていた。
花見と卒業祝い、同時に!!
司泉
俺が提案したんだ。感謝しろよ?
夜曇
料理を作ったのは俺だ。
酒を用意したのは我だ。
私は敷物を準備した!
司泉
寝てた。
咲原 愛
咲原 愛
一人だけ例外がいるけど、ありがとう。
木野 遥
木野 遥
うん!嬉しい!
司泉
例外って...
例外じゃん。
例外だな。
夜曇
例外だ。
司泉
......
司泉
よ、よーっし!は、はやく祝おう!!
誤魔化しやがった...
咲原 愛
咲原 愛
はぁ...
まあ、いっか。






そして私は、何となく空を見上げた。


快晴。曇りのない空だ。




















すると突然、空から折り鶴が落ちてきた。




















まるで、鶴が地上に降り立ったかのように。
咲原 愛
咲原 愛
何だろ...
私は、その鶴を見つめる。



すると、文字が浮かび上がってきた。




















『 愛 へ 』







と。







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