第44話

最後の手段
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2019/07/08 13:52
椿
椿
へぇー!
木野 遥
木野 遥
じ、じゃあ、愛のそのハーフアップは‥‥‥
咲原 愛
咲原 愛
檜垣くんのせい
非柿
非柿
俺のせい・・って何だよ‥‥‥
檜垣くんとの昔話をした。

唯一助けてくれた人だということ。
私が変わる第一歩の背中を押してくれたこと。
夜曇
警戒して損した
秋句
秋句
そうだね‥‥‥
非柿
非柿
だから何故俺が悪いって空気になる?
何だかんだ言って、一件落着らしい。

随批は気絶して床に倒れているので、もう襲っては来ないだろう。
萩句
萩句
まぁ取りあえず‥‥‥
萩句
萩句
突然、萩句は両腕を広げた。

これってまさか‥‥‥
萩句
萩句
喜んでやるつったろ?
咲原 愛
咲原 愛
い、いや、でも、それは流石に恥ずかしいというか‥‥‥
萩句
萩句
何?聞こえない
萩句はいつからSになった‥‥?
木野 遥
木野 遥
わっ!
咲原 愛
咲原 愛
ひゃ!?
遥の声に驚いて体勢を崩した私は、萩句の腕の中にすっぽり入ってしまった。


何が起きたのかと、私は遥の方を振り返った。

──────笑ってる。

絶対わざとだ。にししって笑ってるもん。絶対わざと。
‥‥‥後でげんこつの刑に処す。
萩句
萩句
‥‥‥急にいなくなってごめん
萩句はそう言って、私を抱き締めながら頭を優しく撫でた。

‥‥‥心臓やばい。

声近いし。温かいし。やばいよ、これ。
‥‥‥退散するか
‥‥‥そだね
椿
椿
よし!帰ろ!
司泉
あぁ‥‥‥妹がとうとう兄離れを‥‥‥
夜曇
はいはい、分かったから泣くのやめろ
牡丹
お、お邪魔しましたぁ‥‥‥
芍薬
行こ、彼岸
彼岸
彼岸
‥‥‥うん
秋句
秋句
邪魔しないようにね‥‥‥
非柿
非柿
雰囲気壊さないようにな‥‥‥
木野 遥
木野 遥
お幸せに‥‥‥
おいおいちょっと待て‥‥‥

この状況をどうにかして!?!?助けて!!ねぇ!!!
萩句
萩句
んじゃ、俺らも行くか
萩句は私を放して、今までにないくらいの優しい顔で笑った。

‥‥‥少しきゅんとしたのは気のせいだろう。
咲原 愛
咲原 愛
‥‥‥うん!

































─────その瞬間、後ろから声が聞こえた。



随批
こうなったら‥‥‥‥最後の手段だ!!
随批はふらりと立ち上がっていた。
木野 遥
木野 遥
!?
彼岸
彼岸
気絶してたハズじゃ‥‥‥
“最後の手段”‥‥‥?
様々な疑問が飛び交う中、萩句と秋句は青ざめていた。
秋句
秋句
最後の手段ってまさか‥‥‥!
萩句
萩句
やめろ!それだけはしたら駄目だ!!!
萩句は必死に“最後の手段”を止めようとしている。
“最後の手段”って何だろう‥‥‥
随批
黙れ‥‥‥黙れ黙れ黙れ黙れ!!
随批
もう私にはこれしかないんだ!!
秋句
秋句
駄目だ!神堕かむおちしてしまえばもう戻れないことは分かっているだろう!?
神堕ち‥‥‥?
随批
それを私のものにすればいい‥‥‥!
萩句
萩句
何馬鹿なこと言ってんだよこいつ‥‥‥!
すると、随批の周りが黒く濁りだした。
秋句
秋句
神堕ちする前に止めるよ!萩句!!
萩句
萩句
言われなくても分かってる!!
萩句と秋句は、一気に攻撃をし始めた。

正直、二人が言っていることが理解できなかった。
ともえ様」「神祓かみはらい師」「ケガレの杜」「神堕ち」
どれも聞いたことのない単語だ。
秋句
秋句
‥‥‥駄目だ!効かない!!
萩句
萩句
くそっ‥‥‥こりゃ完全に神堕ちするぞ
でも、今がとても大変なことになっていることは理解できる。
秋句
秋句
芍薬、神祓い師に連絡
芍薬
おう!
すると、芍薬くんはすっと消えた。

そして随批は‥‥‥目が赤く染まり、体がまがまがしい黒に包まれていた。
萩句
萩句
完全に神堕ちしやがった‥‥‥
これが、“神堕ち”というのだろうか。

──────怖い。

今までにないくらいの恐怖を今、感じている気がする。
椿
椿
‥‥‥これ、神祓い師間に合わないよ
彼岸
彼岸
ここら辺一体消滅するかも
消滅‥‥‥!?
咲原 愛
咲原 愛
ど、どうするの!?
夜曇
攻撃も効かねぇ!
‥‥‥神堕ちした神を止められるのは神祓い師だけ
それ以外は止めるのは愚か、手を出すことでさえ不可能だ
他に方法はないの!?
柊は件に縋るように問い詰めた。
すると、件は苦しそうな顔をして答える。
‥‥‥一つだけ、ある
司泉
あるのか!?
あぁ。だが、これは‥‥‥
件はためらいながら口を開く。
それは、‥‥‥‥







『神が一人消滅することを条件とする』






件の声じゃない、でも知っている声が聞こえた。

‥‥‥‥萩句の声だ。
萩句
萩句
神堕ちした神を神祓い師以外のやつが止める唯一の方法‥‥‥それは、神が命を削って神堕ちした神をおさめること
そして、萩句はゆっくりと息を吸うとはっきり言った。



萩句
萩句
俺がやる

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