急すぎない?
というか、この鋼鉄の牢獄からどうやって逃げると...
夜曇はそう言って、鋼鉄の棒に手を掛けた。
そして、力を入れ始める。
ギギギ....
鋼鉄の棒はあっという間に歪み、人が一人通れるサイズの空間ができた。
夜曇は本気で怒らせない方が良さそうだな...
本気で怒らせた瞬間、絶対に骨が砕けるよ...
暗闇をひたすら走る。
脱獄って言ったって、外に出られなければ意味がない。
すると、後ろから追っ手が来た。
私は、夜曇を追いかけて、全速力で走る。
すると突然、夜曇が立ち止まった。
夜曇はそう言って舌打ちをする。
前を見てみると、何人もの人──いや、多分人外だ──が立っていた。
後ろにも、前にも、追っ手がいる。
どうしよう、このままじゃ...
そうだ、私は神使なんだ。
復興と再生の能力を持つ神の、体の一部を持ってる。
復興、再生....
これなら、いける。
私は口元だけ笑う。
すると、私の右目は光りだす。
その瞬間、私の足元から木の幹が伸び始める。
そして、その幹は追っ手の足を掴み、身動きがとれない状態にした。
また、走り始める。
反省してない。絶対に。
...まあ、いいや。
とまあ、こんな喧嘩越しの会話をしながら、脱獄成功したんだとさ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。