死仙が急に、我の前へ現れた。
死仙はそう言って、クスクスと笑う。
我がそう言うと死仙は、不敵の笑みを浮かべた。
物を壊す...?
森の命を、妖怪の命を、“物”と言うのか...?
我がそう言うと、死仙はまた、クスクスと笑った。
死仙はそう言って、醜い笑顔を浮かべながら
消えていった。
我は時期に死ぬ。
それは、怪我をしてからもう、決まっていたこと。
嫌とは思わぬ。
だが、心残りといえば...
柊。
我の旧友であり、同士。
夜曇。
我の弟子であり、拾い子。
二人にまた、会いたい。
だが、そうはいかない。
我は、森と妖怪を守り、消滅する。
今残っている全ての力を森に注ぐ。
すると、森が光出す。
森の傷、妖怪の傷が間も無く消えてゆく。
これが、本当の我の力。
こんな性格で、こんな口調で、治癒とは呆れた
ものよ。
さぁ。森へ還ろう。
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ここは..どこだ...?
見慣れない、静かな森だ...
ああ、そうか。
ここはきっと、天界。
我はそう思い、寝ていた身体を持ち上げる。
怪我...?
ここは天界ではないのか?
うむ。反応からして、悪い奴ではないようだ。
こやつは何故こんなにオドオドしているのだ?
まぁいい。
ここは正直に看病を受けるとしよう。
それから我は、遥に何日もかけて
看病してもらった。
今でも左目は癒えず、失明したが問題はなかった。
遥と過ごすうちに、遥の思い、優しさ、それらを
多く受け、心を動かされた。
今では主として我を側においている。
柊は、我を探す為に森から出たが、食料を獲られず
倒れたところ、主に助けられた。
夜曇は...
仲間入り(?)した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。