第27話

呪術
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2019/04/02 10:53
愛たんと夜曇くんが危ない...?
木野 遥
木野 遥
うん。
木野 遥
木野 遥
だって、呪術を使えるのはごく一部の呪術使い...それに、これまでの呪術を使えるのは天界の者だけとされてるんだ。
天界...神がいる所か....。
司泉
つまり、天界が関わってくると?
僕は頷く。
木野 遥
木野 遥
この折り鶴が天界から贈られてきたとしたら、神でさえ抑えきれない何かに愛が巻き込まれたことになる。
そんな...
夜曇は、巻き込まれた愛に巻き込まれたと...
ちょ...!!その言い方は!
司泉
件は間違ってない。確かに、夜曇は愛に巻き込まれた。
でも...!
司泉
今、俺らが仲間割れしてどうする。
すると、柊が俯いた。
ねぇ...司泉.....。
司泉
何でそんなに冷静なの...?大事な、大切な、大好きな妹が危ないんだよ?
柊は悲しそうな目で司泉を見つめた。



...確かに、僕も思った。


何でそんなに冷静なんだ、と。

愛が危ないのにどうして冷静でいられるのか、と。



けど、司泉は笑って応えた。
司泉
冷静でいられるかよ。
でも、どう見たって...
司泉
じゃあ、妹が危ない時に取り乱して時間を無駄にするのか?
え....
司泉
それで妹に少しでも傷が付いたらどうだ?
司泉
そんなの、絶対に嫌だ。
司泉は真っ直ぐな目で応えた。

───────揺るぎない、強い意志の目。
ふむ。少しは見直した。
司泉
俺って見直される程評価が低かったんだ...
木野 遥
木野 遥
あはは...
....私、ここら辺探してくる!
まだ、いなくなって間もないからもしかしたら近くにいるかも!!
司泉
なら、手分けで探そう。
じゃあ、私はあっち!
我はこっちだ。
木野 遥
木野 遥
僕は向こうで!
司泉
じゃあ、俺はそっちだな。
じゃあ、レッツゴー!!



















数時間後...







木野 遥
木野 遥
あっ、件!
向こうはいたか?
僕は首を横に振る。
そうか...
すると、司泉が僕らの方へ歩いてきた。
司泉
おっ、さっきぶりだな。いたか?
いや、見つからん。
柊も、歩いてくる。
いた?
木野 遥
木野 遥
いや、いなかったよ。
そっかあ...
どうしよう。森が広すぎてきりがない。



─────────あ、

木野 遥
木野 遥
ねぇ、もしかして司泉って呪術使える?
司泉
ん?ああ、使える。
.......は?
え、ちょっと、それ先に言ってよ。
司泉
てか、何で分かった?
木野 遥
木野 遥
司泉は神である秋句に妖怪にしてもらったから、神に関わってるし....何となく?
司泉
何となくで当てやがった。こいつ。
木野 遥
木野 遥
あはは...
司泉
んで、俺は呪術が使えるわけだけど、それがどうした?
木野 遥
木野 遥
あ、うん。
木野 遥
木野 遥
さっきの折り鶴みたいに、呪術を使って折り鶴に愛の所へ連れてってもらえないかなーって。
その手があったか...
遥、頭良い...
司泉
お前らが馬鹿なだけ。
大うつけに言われる筋合いは無い。
大うつけって何?
木野 遥
木野 遥
大馬鹿って意味だよ...
司泉
酷いな、お前ら。
木野 遥
木野 遥
と、取り敢えず!出来る...?
司泉
分からない。けど、やってみる価値はあるな。
それなら、まずは折り鶴を折らないと!
木野 遥
木野 遥
そうだね...!
...というわけで折った!
司泉
早っ...
ん?何だ?この歪な形...
え?鶴だよ?
司泉
ないな。
それはないぞ。
木野 遥
木野 遥
...ないと思う。
えっ!?遥まで...
というわけで折ったぞ。
件こそ何その歪な形!!
司泉
ないな。
それはない!
木野 遥
木野 遥
....ないと思う。
遥まで...
司泉
というわけで折った。
....
...
木野 遥
木野 遥
...
司泉
えっ?な、何で黙った?
司泉の手のひらに乗せられた鶴は、今にも飛び立ちそうな程綺麗な折り鶴だった。
え、何か以外...
見直したぞ...
木野 遥
木野 遥
綺麗...
司泉
遥以外の発言が何か酷いな。
司泉はそう言うと、折った鶴に何かを呟いた。
木野 遥
木野 遥
...?
司泉に折り鶴を差し出される。
司泉
呪術をかけた。後は動くのを待つだけだ。
木野 遥
木野 遥
あ、ありがとう!





フワッ...






折り鶴が水辺から飛び立つように、フワッと浮いた。



そして、折り鶴が向かった先は────────























え....
木野 遥
木野 遥
空......?

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