第28話

トラウマ
394
2020/08/07 13:33
咲原 愛
咲原 愛
ん...
気付いたら、暗い所にいた。

床が冷たい。暗い。寒い。


私は、この場所を知ってる─────────
夜曇
起きた?
夜曇が、寝ている私の顔を上から覗く。
咲原 愛
咲原 愛
ん..起きた......って、
咲原 愛
咲原 愛
ええ!?
私はがばっと起き上がる。
夜曇
わっ、ちょ、どうしたんだよ。
咲原 愛
咲原 愛
ど、どうしたも何も...
私は夜曇の足に頭を乗せて寝ていた。

つまり、《膝枕》だ。
咲原 愛
咲原 愛
びっくりしたぁ...
夜曇
何が?
咲原 愛
咲原 愛
膝枕...
夜曇
あー、今の膝枕って言うんだ。
え、分かってなかった系の...?
夜曇
愛、床で寝てるから頭痛そうだなーって。
咲原 愛
咲原 愛
それで、膝枕を...?
夜曇
おう。
え?夜曇にしては優しくないですか?

あの冷酷で毒舌な夜曇が...
夜曇
失礼だな。
咲原 愛
咲原 愛
えっ、口に出してた?
夜曇
ああ。思いっ切りな。
咲原 愛
咲原 愛
わーお。すみませーん。
夜曇
お前謝る気ないだろ。
咲原 愛
咲原 愛
まあ、それは置いといて。
咲原 愛
咲原 愛
ここ、どこ?
辺りを見回すと、灰色の壁ばっかりだ。

狭い部屋の中に、黒い鉄の棒が何本か並んでいる。


つまり───────────
夜曇
牢獄だな。
人生二度目の牢獄。
咲原 愛
咲原 愛
地味にトラウマなんだよね...
夜曇
あー、あの木野のクソジジィ事件か。
咲原 愛
咲原 愛
クソジジィ事件って....まあ、クソが付くほど酷い人だったけどさ。
咲原 愛
咲原 愛
というか、あれで萩句と私が夜曇に殺されかけたことを忘れないで。
夜曇
忘れねぇよ。柊様にあんな怒られたら忘れられねぇわ...。
咲原 愛
咲原 愛
あー、めっちゃ怒られてたね。まさに上司と部下って感じだった。
夜曇
上司と部下って確か、人間でいういかしゅ?の人間関係だよな。
咲原 愛
咲原 愛
「いかしゅ」じゃなくて「かいしゃ」ね。イカの酒みたいな言い方にしないで。
夜曇
イカの酒って、何か親父くせぇな。
咲原 愛
咲原 愛
親父くさいって....夜曇、今何歳?
夜曇
280歳。
咲原 愛
咲原 愛
......ん?わ、わんもわぷりーず?
夜曇
にひゃく、はちじゅっさい。
咲原 愛
咲原 愛
.....も、もはや親父を通り越してる...
夜曇
妖怪の中じゃ、赤ん坊くらいの歳だぞ?
咲原 愛
咲原 愛
.....まじで?
夜曇
ああ。柊様が人間でいうこうこうせい?くらいで件様がだいがくせい?って感じだ。
咲原 愛
咲原 愛
......
柊が高校生で件が大学生....
全然想像がつかない。
咲原 愛
咲原 愛
あ、えっと、ちなみに...件と柊の歳は?
夜曇
柊様が400歳だ。
あれ?何かゼロ一個多くない??
夜曇
件様は歳を忘れたって。だいたい、800歳位だとよ。
歳を忘れるくらい長く生きてる....


うん。聞かなかったことにしよう。
夜曇
つーか、お前、牢獄にいること忘れてるだろ。
咲原 愛
咲原 愛
あ、
忘れてた。
夜曇
ったく、緊張感がねぇ奴だな...
咲原 愛
咲原 愛
あはは。
牢獄、地味にトラウマだったけど...
咲原 愛
咲原 愛
夜曇がいて、よかった。
夜曇
何だよ急に。
咲原 愛
咲原 愛
べっつにー
夜曇
うざっ




















すると突然、人影が現れた。





???
やあ。元気そうじゃないか。

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